案が採用されるかより、社内の声が“届く”ことが大切

――提案に対して早くレスポンスすることも心がけていらっしゃると聞きました。

 早いですよ。月に数回、まとめてチェックするのですが、ボールを打ち返すように反射的に回答を記入していきます。先ほど申し上げたように、「すぐできることはやろう。やってみて、うまくいかなかったらやめればいい」と考えているので、採否を決める私自身も気楽に考えているんです。

 やる価値ありと判断したら、「採用! ○○さん、よろしく」と担当者を指名。よく考える必要があるなと思った案に関しては「確かに。ちょっと考えさせて」とか「詳しく知りたいから資料を付けて再提出して」と、返します。

――すぐに返事がくるのは嬉しいですね。不採用の案に対して、返事をする際に気を付けていることはありますか?

 意識しているのは、絶対に否定しないことです。むむ? と思った案に対しても、「なるほど。面白いかもね。でも、今はパス!」と、第一声は受け入れるワードに。

 運用してわかったのですが、社員にとっても採用されるかどうかはそれほど重要ではないみたいです。要は「自分の生の声がいつでも社長に届いて、レスポンスがある」という実感が、やる気を高めるんですね。

 この制度を始めて4年、今ではすっかり社内の空気は明るくなりました。「遠い」と言われた私と社員の距離は確実に縮まりましたし、「風通しがよくなった」と社員も喜んでくれています。