社員のアイデアは宝物 提案を思いつく工夫も

――これから導入してみたいという会社に向けて、アドバイスはありますか?

 「採否に関わらず報酬」に加えておすすめなのは、「提案内容を公開すること」です。うちでは、寄せられた提案のうち「回覧OK」の承諾があったものはすべてPDF化して、社内のイントラネットでいつでも見られるようにしているんです。

 誰がどんな提案をしたか、どんな提案なら採用されているのかが分かるので、気軽に提案しやすいみたいです。昨年度の最多は一人160件! 計8万円の支給ですから、なかなかいいお小遣いですよね(笑)。

――すごいですね! 日頃から社内をよく見ていないとその件数は出せないでしょうね。

 この制度を始める前に、リフレッシュルームに無記名式の「目安箱」を設置していた時期もあるのですが、ほとんど投書されませんでした。結果も含めて“オープン”であるほうが「提案のしやすさ」に結びつくようです。

――改善提案が出尽くしてしまうことはないのでしょうか?

 私は社員からのアイデアは宝だと思っているので、「提案を思いつきやすい演出」も意識しています。ちょっと件数が減ってきたかなという時期には「育休中にあるといいなと思ったこと」「就職試験の面接で心に残っている面接官とのやりとりは?」など、お題を出すようにしています。

 導入してすぐの頃に意識していたのは、「提案が実現した例をどんどん見せる」ことです。すぐにできそうなことを即実現することで、「要望は社長に届く。そして実際に会社は変えられる」という実感を社員に持ってもらいたかったからです。実現例がいくつか出てきてからは、加速的に提案の数が増えてきました。今は社員全員が「会社を私がよくしていこう」という意識を持ってくれていますし、「アイデアを実現できる環境」として会社をとらえてくれています。当然、製品開発力をはじめとする組織力の底上げになっていると思います。

 これからもどんな提案が出てくるか、私も楽しみです。

――ありがとうございました。

文/宮本恵理子 写真/編集部

株式会社ランクアップ
2005年設立。オリジナルブランド「マナラ化粧品」の開発・販売を行う。累計販売550万本を超えるヒット製品「ホットクレンジングゲル」や、発売開始からおよそ1カ月で販売本数1万本を突破した「BBリキッドバー」など、多くの女性から支持を集める。代表取締役 岩崎裕美子氏の著書に「ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社」(クロスメディア・パブリッシング)がある。
URL:http://www.manara.jp/

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