――「初めての給料でプレゼントを用意し、御礼の言葉を述べる」というルールを作ったことにも意味があるのでしょうか?

 はい。これは私どもの仕事のやり方すべてに言えることですが、「型」を決めることが重要だと考えています。感謝の気持ちは、伝わるように伝えるべし。どれだけ感謝の気持ちがあっても、相手に十分に伝わらなければ意味がないのです。伝わるためには、入念に考えられた演出と表現力が欠かせません。自己満足ではなく、相手に確かに感謝を伝えるための“型”として最低限のフォーマットを決めています。

親孝行月間を終えると、若手社員はレポートを提出する

 経営層が決めたのはこのくらいですが、より確実に感謝を伝えるためのアイデアが社員から提案されるようになり、型がどんどんブラッシュアップされていったんですよ。最近は、先輩社員による事前練習会も開かれて、リハーサルもしています。「親孝行現場の証拠写真を撮る」というのも社員の発案です

――親孝行制度を実践した新入社員の方々からは「初めて親に感謝の気持ちを伝えられた」「相手を喜ばせることの価値を実感できた」とポジティブな反応が聞かれました。
潜入取材第1回はこちら⇒「聞いたことがない! 両親への「ありがとう」が業務命令
潜入取材第2回はこちら⇒「感涙必至の「親孝行制度」 社員は何を学んだのか?

 報告を聞くだけで、私も親のような気持ちで胸がいっぱいになり、ついつい涙ぐんでしまいました。10年ほど前には、「実家の母の足を洗ってあげました」という社員もいましたね。親御さんから感謝のお手紙をいただいたこともありました。

 当社では社員の誕生日も「親孝行の日」と位置付けて、「産み育ててくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えることを推奨しています。当社のお客様にはワインやせんべい、和菓子など贈り物に最適な商品を扱っている企業様もたくさんいらっしゃいますので、そういった商品を贈り物としてプレゼントすることも薦めています。その場合には、費用の一部を補助しています。

――働くほどに、親孝行の気持ちが増しそうですね。

 親に対してだけではなく、どなたに対しても感謝の気持ちを育てる土壌をつくりたいと思っています。

 私どもの会社の“名物”としてテレビで紹介されることも多い毎朝の朝礼の時間をはじめ、いつでも「ありがとうございます」「助かりました」「勉強になります」といったポジティブワードを積極的に口にするようにしているのです。仕事中に感じた感謝の気持ちを書きとめて社内で公開する「サンクスカード」の取り組みも続けています。

壁一面に貼られた「サンクスカード」