――感謝を積極的に表現する環境を育てることで、組織として得られるメリットとは、どのようなものなのでしょうか?

 私たちは会計のプロとして技術を売る前に、まず人間性を磨くことを第一と考えています。社員ひとり一人が輝けば、自然とお客様は寄ってくるんです。人間性を磨くためには、感謝の心。感謝は幸せの源です。そして、感謝を伝える機会があれば積極的に伝えていく。

 最初は「無理やりやらされている」という社員も中にはいるでしょう。でも、何度も繰り返すうちに、いつのまにか自然にできるようになるというのが、人間の学ぶ力です。やってみよう、やったらできた、やってみたら喜んでもらえた……その繰り返しで、感謝を確かな形で伝える力が磨かれていきます。感謝を相手に伝えられる人間として成長するための環境を会社が用意し、感謝を伝えられる社員を育てていくと、常に相手の立場に寄り添った思考や行動ができる組織へと育っていくのだと実感しています

 その結果として、33年連続増収という成果につながっていくのです。おかげさまで前期は1年間営業活動なしで170社という業界トップの新規顧客獲得数となりました。夏のボーナスも大幅アップの予定です。

 もう一つ、親孝行制度を続けている理由があります。それは私たちが経営理念のはじめに「一生あなたと家族を守る」と約束しているからです。

 日本の企業の95%が中小企業で、雇用者の7割は中小企業に勤めています。ハイレベルな国際競争は一部の大企業にお任せするとして、私ども中小企業の最大の存在理由は「社員を幸せにすること」です。

 そして、社員を幸せにする方法は給料を上げることだけではありません。一日一日、働きながら、そして家に帰ってからも充実した時間を味わって「この会社に入ってよかった」と思ってもらえるための工夫を重ねることが、私たちの中小企業経営者の役割だと信じています。全国の中小企業を元気にしようと目標に掲げる当社が、まずはその手本となるよう、これからも社員が幸せに輝くための取り組みをどんどん実践していきたいと思います。

文/宮本恵理子 写真/大吉紗央里

税理士法人 古田土会計
株式会社 古田土経営

1983年設立。財務・会計業務、各種コンサルティング、監査業務を行う。創業以来、赤字なし、無借金経営。30年以上増収を記録する。平成27年度「新・ダイバーシティ経営企業100選」を受賞。「社員の幸せを追求し、人間性を高める」を経営理念に掲げている。
URL:http://www.kodato.com

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