100時間超の残業はどうやって減った?

 でも、みなさん一時は100時間を超えるほどの残業をしていたんですよね? 急に「チケット」制度が導入されて、すんなり対応できたのでしょうか?

 「もちろん、すぐに変わったというわけではありませんでした。それまでも『NO残業デー』や『サマータイム』などいろいろな取り組みをしていたのですが、どれも上手く根付かなかった。チケットが始まったときは『またか……』なんて声が聞こえてきたのも事実です。最初はチケットが足りなくなってしまう社員もいました。でも、『チケット』という回数制限があることで、時間の使い方にメリハリが付いたようで、次第に残業時間が減っていきました

 以前は朝まで仕事という日も珍しくなかったそうですが、フレックスタイム制を導入したこともあって、今では夕方の明るいうちに帰る社員もいるそうです。

 ピコナには、女性社員が林さんを含めて3人。ほかのお二人にも話を聞いてみました。

 「空いた時間にインプットができるようになりました。仕事柄、やはりさまざまな映像作品に触れたいので、退社してからレイトショーを観に行ったりしています。残業チケットが浸透してから、自宅で『金曜ロードショー』も観れるようになったんですよ」(CGアニメーター 山田さん)

 「私は他業種から転職したのですが、長時間労働が当たり前なイメージを持って入社したので、残業が少なくて驚きました。好きな仕事だからこそ、時間制限がないとどこまでも突き詰めてしまうので、残業チケットは仕事を切り上げる良いきっかけになっています」(CGモデラー 大塚さん)

 月によってはチケットを1枚も使わない社員もいるそうです。