全社員が1年に1回、「山ごもり」をする? そんなナゾの制度があるのは、マーケティング関連のソフトウェアを手がけるITベンチャーのロックオン。業務効率の改善や、働き方の意識改革を生んだ取り組みの実態を探るべく、東京支社にお邪魔しました。

「山ごもり」の予定は1年前に決めてしまう

 ロックオンは2001年に大阪で誕生した会社。インターネット広告の効果測定やECサイトの構築といったマーケティングソリューションの分野で業績を伸ばし、現在は大阪や東京の拠点で約80人が働いているほか、ベトナムに子会社を設立しています。

 東京支社は銀座のど真ん中にあるピカピカのオフィスビルの6階。受付の横では、ぽっちゃり体形の愛嬌たっぷりな人形が出迎えてくれました。

入り口で迎えてくれた「エビスくん」。ほっこりします

 「これはエビスくんです。弊社の主力商品『アドエビス』のキャラクターで、イベントのときには社員が中に入るんですよ」。そう教えてくれたのは、人事部部長の桐生明子さん。わざわざ大阪本社から駆けつけてくれました。

 30人ほどが働くオフィスを見せてもらうと、窓際に置かれたホワイトボードには全員の業務スケジュール表が書いてありました。とある人の名前の列の最後には「山ごもり」の文字。

東京支社にお邪魔しました
ホワイトボードの外出予定欄に書かれた「山ごもり」とは?

 桐生さん、山ごもりって、いったい何ですか?

「2011年10月にスタートした『山ごもり休暇制度』のことです。年に1度、月曜から金曜までの5連休を必ず取るというもので、前後の土日をつなげて9日間の休暇中は、会社との連絡を一切断つのがルールになっています」

社内を案内してくださった人事部の桐生明子さん

 リフレッシュ休暇のような長期休暇はよくありますが、必ずしもすべての人が取得しているとは限らないもの。また、良くも悪くもメールやインターネットといった通信手段が進化したおかげで、休みは取っても旅先にパソコンを持っていって仕事をしたり、会社からの問い合わせに対応したりという人もいますよね。「山ごもり休暇」のユニークな点は、「前もって日程を決め、社員全員が取得していること」「休暇中に仕事に関する連絡を取ってはいけないこと」にあるのです。

 10月に新しい期がスタートするロックオンでは、9月になると「来期の1年間にどこで山ごもりをするか、日程を提出するよう人事から各部に通達を出して、社員全員の『山ごもり表』を作ります」と桐生さん。時期は部署内で重ならないようにすれば、1年間のうちどこでもOK。ただし変更は基本的にできません。また、休み明けにはどんなふうに過ごしたのかを、全社員の前でスライドを使ってプレゼンするのだそう。これはかなり「本気度が高い」休暇制度と言えそうです。