ステップを追って解説! 遅刻が増えた人への注意の仕方

 最後に、「遅刻への注意」を例題として、会話のステップに応じて言いたい言葉をご紹介しましょう。

ステップ 言葉の例
リラックスした雰囲気になるよう、場づくりをする 「大きなイベントが終わって、一段落したわね」
後輩の日ごろの仕事ぶりを認める 「着々と準備してくれるから、ひよ子に任せると安心だわ」
改善を促したい行動を1つだけに絞り、具体的な観察事実に触れながら Iメッセージで伝える 「ただね、実はこの2日間、ひよ子が遅刻をしたことを私は残念に思っています」
問題行動の理由を聞く 「何か理由があったら教えて」
自分に協力できることがあれば、遠慮なく言ってほしい旨を伝える 「私に手伝えることはない?」
本人から改善策を出してもらい、約束をする 「ふーん。真夜中まで資格試験の勉強をしているんだ。感心しちゃう。だけど睡眠不足が続くから、これからは22時までに集中して勉強を終わらせて寝るのね。了解!」
後輩に言い残したこと、気になっていること、疑問点がないかを確認する 「あなたからも、何か言っておきたいことはないですか?」
理解してくれたことに感謝をし、今後さらに期待していることを伝える 「ありがとう。ひよ子はみんなからも期待されているから、今後も一緒に頑張っていきましょう」
★ポイント:WE(私たち)メッセージを使って

効果的な注意の仕方のポイント

◆「YOUメッセージ」ではなく「Iメッセージ」
◆GOODとBETTERの視点を持とう
◆注意するタイミングと場所はケース・バイ・ケースで
◆感情的になったり、ネチネチ言うのはNG
◆注意した後はきっちりフォローを

やる子 「おお~、最後の例題、完璧じゃないですか! これ、丸暗記してひよ子ちゃんに伝えたいです」

すずまり姉さん 「だしょだしょ? 注意することと怒ることは違うんだから、あ~たも無理して怖く見せる必要はないってわけ。『褒めてやらねば、人は動かじ』ってやつよ」

やる子 「ん? 何ですか、その言葉」

すずまり姉さん 「なんと! 連合艦隊司令長官の山本五十六殿(編集部注:海軍軍人として要職を歴任。「やってみせ」など数々の名言を持つ)。「やってみせ」や「男の修行」などの名言を知らんとは……。ジェネレーションギャップを感じるわね」

やる子 「いやいや、別に姉さん、その時代に生きていないじゃないですか。どっちかっていうと、オジサマ好きの血が騒いでいるんだと思いますけど」

すずまり姉さん 「そうそう、あの制服姿がすてきで……」

 そう言って、すずまり姉さんが好みのタイプを語り始めた瞬間、パタパタパタ……と、ひよ子のかわいらしい足音が。

ひよ子 「あ、やる子先輩! 広報部長も、お疲れさまです~」

やる子 「ぅおっと、ひよ子ちゃん! お、お疲れさまでござりまする」

すずまり姉さん 「ちょっとやる子、何を焦ってるの。チャンスよ、チャンス」

やる子 「え、でもまだキラキラ投稿への注意はレクチャー受けてないんですけど……」

ひよ子 「あれ? どうして小声なんですか? もしかして、恋バナ?」

すずまり姉さん 「これまたずいぶん、ノンキな子ね。大物になりそうだわ……。もう、いいからやる子、とっとと話してきなはれ。キラキラ投稿? んな非常識なことに対しては、ストレートになぜダメなのか話せばいいだけよ。ではお二人さん、行ってらっしゃ~い!」

 まるで「新婚さんいらっしゃい!」の司会者のように、片手を上げながら節を付けたセリフで送り出すすずまり姉さん。「えへへ、何ですか~?」と無邪気に笑うひよ子を前に、やる子は不安そうな表情を浮かべるのでした。

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA