これが具体的なクレーム対応のステップです。この通りに進められないケースもあると思いますが、一つの目安として参考にしてみてくださいね。

■クレーム対応のステップ
1.相手の話、言い分をよく聞く
・途中で遮らない
・事実を確認するためにメモを取る
・「しかし」「でも」「お言葉を返すようですが」「それは誤解です」などと、口を挟まない
・怒りの感情には共感を示す
2.迷惑を掛けたことに謝罪する
・「迷惑を掛けたこと」「不快な思いをさせたこと」に焦点を当てて謝る
・相手が指摘する通りなのか、事実関係については確認を取ってから謝罪する
3.原因・経過の説明をする
・言い訳でなく、原因や経過を説明する
・他責ではなく自責で対応する
 (例)他責「本社が悪い」
    自責「私の伝え方に問題があった」「確認が漏れていた」
4.解決策の提示をする
・解決するための方法を提案する
・相手がしてほしいこととのギャップがないかを確認する
5.クレームを届けていただいたことに対し、感謝を述べる
・解決策に対して了解を得たら、正確かつスピーディーに実行する
・再発防止策を伝える
・クレームを伝えてくれたお礼と、再度おわびを言う

感情的になった相手に実践したい「3つのチェンジ」

 もし、相手が感情的になって押さえ切れない場合は、「人」「場所」「時間」を変えるのも一つの方法です。例えば、担当者を自分から上司に代える、対応する場所を受付から応接室にお通しするなど場所を替える、お茶を飲んでいただく時間を設けるなど、「3つのチェンジ」で一呼吸置くようにしましょう。

「ファンからのメッセージ」を今後に生かそう

 繰り返すようですが、顧客からのクレームはいわば宝の山。そこには、会社やあなたのビジネス改善に役立つヒントがたくさん詰まっています。この宝は生かさなければもったいないというもの。クレームと対応策を記録に残し、社内で共有して同じ事を繰り返さないようにしましょう。企業によっては、クレーム内容と改善策をホームページなどで公開していますが、顧客に対する真摯な企業姿勢が感じられるのでよいのではないでしょうか。

クレーム対応のポイント

◆クレームはファンからのメッセージと捉えよう
◆きちんと対応すればロイヤルカスタマーを増やせる
◆誠意とスピードを念頭に置き、初期対応をしっかり行う
◆クールダウンに役立つ「3つのチェンジ」
◆今後に生かして「二度と繰り返さない」

ひよ子 「そっか、謝っても改善策を提示できなければ、相手はイライラするだけですよね。これからは、きちんと対応できるようにならなくっちゃ」

すずまり姉さん 「たまにクレームを言いたいだけの人もいるから、そこは注意しなきゃいけないけどね。そういえば私、学生時代にやったコールセンターのバイトではイタズラ電話をよく受けていたのよね。気付かずに延々と会話を続けて、怒られたりしたものよ」

やる子 「姉さん、そりゃ怒られますって。話を戻すと、これからはクレームが来ても、教えてもらった最善策を理解した上で経験を積めば、きっとスムーズに処理できるようになるってことですよね」

すずまり姉さん 「そーだよ、そーだよ、ソースだよ!」

ひよ子 「(姉さんをスルーして)うまくできないと、しばらく落ち込んじゃうんですけどね。やる子先輩は落ち込んだとき、どうやって回復しています?」

やる子 「うーん。あんまり引きずることないからなぁ、私」

すずまり姉さん 「あらやだ、せっかく打った華麗な相づちが放置されちゃったわ。それよりやる子、ちょっと前にかなり落ち込んでたって聞いたけど。確か、大好きだった彼氏とケンカしたか何かで……」

やる子 「う、言いますか、それ、 今! まあ、ケンカっていうか、それが原因で別れちゃったんですけどね」

すずまり姉さん 「そうそう、『失恋レストラン』(編集部注:1976年に発表された清水健太郎氏の名曲)! あのときは大変だったみたいよね。涙を忘れるカクテルが欲しい、とかなんとか言って」

やる子 「そんな歌詞みたいなこと、言ってないですから。買い物したり、旅行したりして大変でしたけど。アシンメトリーのワンピース買ったのも、今思えば不安定だったからだろうな」

ひよ子 「せ、先輩、なかなかヘビーな経験ですね、それ」

やる子 「結局、旅先でイルカと泳いだら復活できたけどね! いいよ、イルカ。ひよ子ちゃんも、いざというときはオススメだから、イルカ!」

すずまり姉さんひよ子 「イルカ連呼し過ぎ」

 その後もイルカ愛を語るやる子と、その姿を生温かく見守るすずまり姉さんとひよ子。今夜の3人の宴は、まだまだ続いていくようです。

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA