退職にまつわる業務と、退職日を迎えるまでの心構え

 各方面への連絡を済ませたら、すぐにでも始めたいのが引き継ぎ作業。日常業務と同時にこなすのは大変かもしれませんが、きちんとしておかないとあなたの評判にも関わってきます。

業務を滞らせないために。引き継ぎに必要なことって?

 引き継ぎが不十分では、後任者も困ってしまいます。他部署への移動ならともかく、退職の場合は基本的に連絡を取らなくなるので、分からないことを確認するのは難しいもの。余すことなく伝えるなら引き継ぎマニュアルを作成し、書面に残すようにするのが効果的です。関係書類やデータ、やり取りの分かるメールなども整理し、添えておくといいでしょう。社外に対しては、後任者の紹介や今後の連絡先を伝えておくこと。連絡先は後任者だけでなく、上司も加えておくと先方に安心感を与えられます。

残っている有休、退職日までに完全消化してもいい?

 有給休暇は当然の権利です。とはいえ、せっかくだからと残っている分を消化して退職日まで何週間も出社しない……となると、社風にもよるものの、反感を招くこともあるかもしれません。有休をまとめて取得するのはもちろんNGではありません。ただ、退職前はやるべきことも多いもの。それを投げ出して権利だけ主張するのは避けたいですよね。まとめて取るなら、引き継ぎや退職前の仕事の整理の計画を立て、上司や周囲に早めに報告しておく。また、普段から有給休暇を消化しておくようにしたいですね。

周囲から転職を応援してもらえるような関係性が築けたらいいですよね (C)PIXTA
周囲から転職を応援してもらえるような関係性が築けたらいいですよね (C)PIXTA

新天地に思いを馳せ、やる気が出ない…

 退職が決まったからといって、今の仕事へのモチベーションがダウンしてしまうと、周囲によくない影響を与えることがあります。送別会を開くなど、気遣いをしてもらっているのにそんな態度はいただけません。感謝の気持ちを忘れずに、退職日までプロとして業務にまい進してください。周囲の人たちと、退職後もいい人間関係が続けられればベストです。

円満退職を実現させるポイント

◆退職の意向を伝えるなら、まずは上司から
◆少なくとも1カ月前には報告しよう
◆退職の理由は「一身上の都合」で無難に
◆引き継ぎは迅速に、分かりやすいかたちで行うこと
◆最後の日まで、プロの姿勢を崩さずに

やる子 「なるほど~。意外と知らないこともある! 断片的に知っていても、順序立てて教えてもらうと頭に入りますね」

すずまり姉さん 「だしょ? 辞めるときは立つ鳥跡を濁さず、グループを卒業して次のステージに進むアイドルのように美しく、が鉄則よ。これなら、ひよ子ちゃんのお友達もスムーズに退職できるんでないかい? ところで、その子ってホントに友達? 彼氏だったりして?」

ひよ子 「やだ、部長ってば。友達ですよ。今のト・コ・ロ・は」

やる子 「マジっすか! ひよ子ちゃん、やるな……。それにしても、よかった、ひよ子ちゃんが辞めるんじゃなくて。さっきは営業部長のせいかと思って、ムダに怒っちゃったよ」

ひよ子 「そこはもう、ご心配いただかなくても大丈夫です。最近、営業部長の口グセに気付いてから怖いと思えなくなっちゃって。『ちなみに』とか『逆に』とか、よくおっしゃるじゃないですか。全然ちなんでも逆でもないタイミングで」

すずまり姉さん 「確かに言ってるわね。この前は『Aの売り上げが伸びていない、逆に言えばBもだ!』って会議で聞いたわ。逆じゃないのに」

やる子 「そう言えば私もそれ、聞きましたよ! 逆におかしいですよね、あれ……」

すずまり姉さんひよ子 「あんた/先輩 が使うんかーい!」

 すずまり姉さんとひよ子の華麗なツッコミに、思わずたじろぐやる子。ドキドキしながらも「最近、二人して何か仲良くないですか?」と軽いジェラシーを感じ、ひよ子への対抗心を燃やすのでした。

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA