10年後には紅茶関連の講座を開催できるように

将来の夢もできたH・Kさん (C)PIXTA
将来の夢もできたH・Kさん (C)PIXTA

――海外で仕事をされるということは、英語も話せるということですよね。海外での仕事を目標に、これまで「オフ時間」を使って英語を勉強されてきたのでしょうか?

 「英語については、特に目的があって勉強したことはありません。学生時代は英語が一番好きで、よく勉強していたのですが、社会人になってから時間とお金を投資したことはないんです。

 ただ、英語で書かれた紅茶関連の資料を読んだり、外国人の友人と英語でやり取りをする機会が多いので、それが結果的に英語の勉強になっているんだと思います。

 英語でのコミュニケーションに抵抗がなく、そのおかげで働く場所の選択肢が広がったり、交流の幅が広がったりしているので、英語が好きで本当によかったです」

――「総合旅行業務取扱管理者」という、旅行業の資格も持っているそうですね。この資格は、なぜ取ろうと思ったのですか?

 「知人から、共同で紅茶ツアーの主催をしようと誘われたことがきっかけです。ツアーを主催し、参加者を募集するためにはこの資格が必要だったので、半年間かけて勉強し、37歳の時に取得しました。

 ちょうどこの資格を取った頃に、『日本の旅行会社でも外貨両替業務ができるようになった』という記事を読み、『外貨両替の経験と旅行業の資格があるなら、今後 退職をしても旅行関連の仕事なら見つかるだろう』と思い、転職する勇気にもつながりました」

――この時は、どのようにして勉強時間を確保したのですか?

 「仕事がある日は、休憩中や帰宅後に勉強。休日は誘われたときだけ外出して、それ以外はなるべく自宅で勉強するようにしていました。講座などには通わず、市販のテキストや過去問題集を購入して自宅で学習していたので、かかった費用は1万5000円ほどです」

――働きながらこれだけの資格を取得していくためには、「自分時間」を有効に使っていく必要があると思います。時間管理や勉強のコツなどがあれば教えてください。

 「短期集中型で取り組み、資格取得の勉強中は、他のことを同時進行しないようにしていました。旅行業の勉強中は紅茶の勉強はせず、旅行の資格取得に専念するといったかたちです」

――時間とお金を投資して新しいことにチャレンジするとき、「本当に結果が付いてくるのだろうか……」と、不安になったことはありますか?

 「どれも勉強を始めた時は、将来的に仕事につなげようと思っていたわけではなく、趣味の延長という感覚でした。そのため勉強した後のことを考えて不安になることはなく、年齢的な葛藤などもありませんでしたね」

――「好きこそ物の上手なれ」というように、「自分時間」に好きなことを突き詰めていくことが、「なりたい私」になる方法の一つなのかもしれませんね。では、今後はオフ時間をどのように使っていきたいですか? 10年後の目標なども教えてください。

 「スリランカを拠点に仕事をするので、今後はオフ時間にも英語や現地語の学習が必須になってくると思います。また、現地の生活になじんで友人を増やし、ストレスをためないようにするためにも、趣味のサークルなどにも参加していきたいです。

 そして10年後には、スリランカに来る観光客を対象に、紅茶工場や茶園などへの案内、紅茶やテイスティングの講座などを開催していたいと思っています」

文/青野梢 写真/PIXTA