――いろいろな生き方があると頭では分かっていても、一度仕事を辞めると、キャリアを築けないのではと不安がある人も多いです。

 いえいえ、それは大きな間違いです。現に私も、日本に帰国後、パートからスタートして、7年でキャリアを築くことができました。今は人手不足ですし、数年仕事を辞めていても、その人の生き方次第で、また仕事に戻れる。元の職場には戻れないかもしれないけど、別の仕事で活躍できるかもしれない。時代はどんどん変わって、これからどんな仕事が出てくるか分かりません。だから、自分自身も進化し続ければいいんです。

――世の中は、共働きが増えていますが、「本当は専業主婦をやってみたいな」という人も、その人次第で人生をつくっていけるというわけですね。

 はい、自分が常に成長していれば大丈夫。「責任」があるのは、仕事でも家事でも育児でも同じです。目の前の仕事に常に真剣に取り組むことで、キャリアを積むことができるのではないでしょうか。仕事を探すときに「正社員がいい、パートの仕事はしたくない」なんて思って遠ざける人も多いですが、もったいない。私自身は時給1300円のパートから始めましたから。たった7年前のことです。

――もしそこで一歩踏み出さなかったら、そこで止まってしまったわけですものね。

 はい、「自分は高学歴だから、パートでは働きたくない」「以前はいい会社に勤めていたのに」と思う必要はありません。なんでもできることから一歩踏み出せば、別の可能性が見えてくる。「どうしようかな、不安だな」と止まるのは、無駄なエネルギーを使うだけです。

 日本は終身雇用の歴史がありますから、「新卒で就職したらゴール」という気持ちがどこかにあるのかもしれません。でも、最初の仕事は終点ではなく、始発です。自分の人生をどうつかんでいくかを考えてみてほしいです。

――薄井さんは、これまで、落ち込んだり、後悔したりということもあったのでしょうか。

 もちろんありますよ(笑)。専業主婦の時は、働いている友達がキラキラ輝いて見えたときがありましたし、いろいろ落ち込むこともありました。そこで私は、愚痴を吐く時間をつくったんです。それを「かわいそうパーティー」と呼んでいるのですが、「私ってかわいそう」と思いながら、時には泣いたり叫んだりして、思い切り落ち込みます。ただし10分間限定。だって、人生って、生まれた時から不公平に決まっている。落ち込んだり泣いたりしている暇があったら、「どうしたら乗り越えられるか」を考えたほうがいい。10分たったら気持ちを切り替えるんです。

「私ってかわいそうパーティー」ではとにかく落ち込んで泣く。10分間限定でね!

――モヤモヤ気分を抱えたまま、何日も何週間も引きずってしまうこともありますが……。

 その時間は本当に無駄なんです(笑)。どうしても頭の中でぐるぐるするなら、悩んでいることを書き出すのがおすすめ。自分にとっての「メリットとデメリット」を書き出して見比べてみる。そして選んだら、「自分の決断は正しい」と信じて全力を注ぐ。もし失敗したとしても、考え抜いた上での行動だから納得できるはずです。

 それでも迷ってしまうときは、第三者の手を借りる。「コーチング」というサービスを利用するのもいいですよ。プロのコーチングを受ければ、自分で人生のかじ取りができるようになります。学生時代って待っていれば次にやるべきことが向こうからやって来ましたが、社会に出ると自分でかじ取りをしていく必要があるんですよね。

 ちなみに、コカ・コーラ社では、コーチングを受けることもできます。「成長文化」が会社のポリシーですから、社員一人一人が成長していかないと、会社は成長していかないという考え方なんです。