「お金ができたら投資に回す」はNG。今日から投資を始めたほうがいい理由を、ファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんに教えていただきます。

お金のふえ方は何で決まる?

 前回、お金をふやすには「本業で稼ぐ」「支出を抑える(=上手に使う)」「運用する(=計画的に貯蓄+投資をする)」の3つのバランスが大切、というお話をしました。今回はその中でも、3つ目の「運用する」に注目してみましょう。

 お金のふえ方は、「金額」と「リターン」と「時間」の掛け算で決まります。

3つの要素のうち、今回注目するのは……
3つの要素のうち、今回注目するのは……

 皆さん、なんとなく「リターン」が気になりませんか? リターンというのは貯蓄や投資をすることで得られる「収益」のことです。例えば、投資したお金(元本)がどのくらいふえた・減ったかということと、その間に受け取った配当などを加味して求められます(年○%という言い方をすることが多いです)。ただし、結果的にどれくらいのリターンを得られるかはあとになってみないと分かりません。これからの金利や株式市場の動向、為替などによって変わるからです。

 そこで、注目したいのが「金額」と「時間」です。「金額」と「時間」は自分でコントロールすることができるものだからです。

投資を始めるなら「今日」が最適

 金額というのは貯蓄や投資に回せるお金、つまり「元本」ということになります。稼ぎ力を上げたり、支出をコントルールしたりすることで、できるだけ貯蓄や投資に回す元本をふやすこと。それがお金を育てることにつながります。

 もう一つ、時間をかければ、それだけお金をふやすことができます。時間を長くとるには、なるべく早く貯蓄や投資をスタートすることです。コツは、過去は振り返らず、「今日が人生で一番若い日」だと思うこと。今始めるのが、いちばん長く続けられます。

 そして、始めたら、やめずに長く続けることです。長く続けるには「しくみ」をつくってしまうのがおすすめです。具体的には、お給料が銀行口座に振り込まれたら、その口座から自動的に積立の貯蓄や投資に回していけるよう「しくみ」化してしまうのです。例えば、投資信託の積み立てなら1商品につき500円や1000円といった少額から始められます。最近では最低積立金額を100円に引き下げるネット証券も登場しました。