今ないものは将来もない!

 30代の頃は、「もっとお給料がふえたら」とか、「生活にゆとりができたら」まじめに貯蓄や投資をすればいいだろうと考える人も多いのですが、後になればなるほどお金を貯めることが難しいのが現実です。

 会社員の場合、お給料が上昇していくのは40代後半から50代前半までで、その後は頭打ちです。それなのに、教育費などの大型支出は後になるほど増えていきます。特に、近頃は結婚や出産といったライフイベントが後ろにずれていく傾向にあります。

 例えば、20代で結婚・出産をすると50歳頃には子どもの手がかからなくなりますから、教育費の目途がついてから老後資金を貯める時間は十分あります。一方、30代半ばで結婚・出産すると、60歳前に教育費の負担がピークを迎えます。そうなると、教育費の支払いが終わってから老後資金を貯めるのは厳しいでしょう。

結婚、出産、マンション購入など、ライフイベントにはお金が必要です (C)PIXTA
結婚、出産、マンション購入など、ライフイベントにはお金が必要です (C)PIXTA

 シングル時代に二人ともある程度のお金を貯めていれば問題ないのですが、シングルのときにはあまり貯蓄をしていなかったという人が多いのも現実です。

 最近はずっと独身で過ごす人も増えていますし、子どものいない既婚夫婦(DINKS)も増えています。子どもがいない分お金に余裕がありそうですが、実際には支出も多くて意外とお金が貯まらないというケースも多いのです。

 若いうちから少しずつでも貯蓄と投資をスタートしたほうがあとあと楽になります。「就職したばかりでお金がないし」、「結婚したばかりでお金ないし」、「子どもが生まれて教育費もかかるし……」ということでは、結局いつになっても資産形成を始められません。今ないものは将来もない、と思ってください。

 今あるお金の中から一定の金額を捻出して、貯蓄や投資に回していく「しくみ」をつくる。スタートは早いほうがいいのです。

文/竹川美奈子、写真/PIXTA