個人年金保険は本当に資産形成に向いている?

 このように見ていくと、避けたほうがよい商品も見えてきます。例えば、個人年金保険は、(1)「イザというときに換金できること」と(2)「長い目で見たときにインフレに勝てること」の点から見るとあまり好ましくはないですよね。支払うお金が固定化されますし、解約もしにくい(短期で解約すると元本割れも)。そして、⾜元では予定利率も低いため、将来の”自分年金”をつくっていく上ではあまり魅⼒的とはいえません。

 保険はそもそも、自分の力だけでは対応できないリスクに対応するために入るもの。もうけるためではなく、万一のときのリスクをヘッジ(回避)するのが本来の目的です。

 もし、リタイアに向けたお金をつくっていくなら、2017年1月から現役世代の人が原則加入できるようになった、iDeCo(個人型確定拠出年金)という国の制度を優先したほうがいいでしょう。支払った掛け金が全額所得控除の対象になるなど税制的なメリットも大きいからです(iDeCoについては別の機会に詳しくご説明したいと思います)。

若いときの不動産投資がNGな理由

 ワンルームマンションを購入するといった不動産投資も、(1)「イザというときに換金できること」と(3)「過度な集中を避けること」から見てNGです。

 金融資産が数十億円もあるような富裕層が、そのうちの一部で不動産投資を行うのはよいとは思いますが、金融資産が十分にない人が借金をして不動産を購入したらどうなるでしょうか。資産のうちの大部分が不動産ということになってしまいます。

不動産投資は資産の割合を考えて(C)PIXTA
不動産投資は資産の割合を考えて(C)PIXTA

 また、不動産は預金や有価証券(株式や投資信託)とは異なり、売却までに相当の時間を要します。それに、売れればよいほうで、景気が悪いときにはそもそも売ること自体が困難ということにもなってしまいます。

 最近は、アジアの国に出向いて不動産を見学するツアーなどもありますが、海外の不動産は契約形態や手数料、税金などが日本と異なりますから、さらにリスクが上乗せされていると考えたほうがよいでしょう。いずれにしても、十分な金融資産のない人が「老後が不安」だからと気軽に購入するのは避けたほうが賢明です。