自分にとって無駄なものを切り捨てていくには

 これは有名な話なのですが、アップル社の創業者の一人で元会長の故・スティーブ・ジョブズが、いつも黒いトレーナーにジーンズを身につけていたのは、服装に迷う時間を無駄だと考えていたからだといいます。

 スティーブ・ジョブズに限らず、ベンチャー企業を立ち上げて成功している経営者には同様のことを実践している人が多いようです。Face book CEOのマーク・ザッカーバーグもこう言っています。「私は、コミュニティに奉仕すること以外の決断をできる限り減らすために、生活はシンプルにしておきたい」と。人生という限られた時間の中で、何かに迷っている時間というのは無駄以外の何物でもないので、これを極力減らし、それによって捻出した時間をもっと大切な何かのために費やし、集中力を高めていくほうがいいというわけです。ですから経営者の中には、毎朝同じ店で同じコーヒーを買うという人もいれば、ランチには同じメニューを食べるという人もいます。

 これは、選ぶ楽しみを捨ててしまえということでは決してありません。洋服をとっかえひっかえ着るのが単純に楽しい人なら、そこに時間を費やすのはいっこうに構わないのです。けれどスティーブ・ジョブズにとって、きっと洋服選びは楽しみでも何でもなく、ただの無駄な時間だったのでしょう。毎朝同じ店で同じ飲み物を買う人や、ランチに同じものを食べる人にとっても、飲み物や食べ物について迷うことは楽しみではなく、無駄でしかないのだと思います。人間には人それぞれの楽しみ方や悩み方があるので、他人の価値観に引きずられず、自分にとって無駄なものを切り捨てていくことは大事です。

 ちなみに先ほど示した、ランチにオムライスを食べるか、カレーを食べるかは、少なくとも私にとっては迷いや悩みではなく、一つの楽しみです。あなたにとってはどうでしょうか。