これら3回の共通点は?

 これら3回の「迷いも選択肢もない瞬間」は、それぞれ時期も背景も違っています。しかし共通しているのは、「どんな困難があっても必ず幸せになる」という覚悟があったという点。自分が幸せになるという覚悟は、広く周りの人々も幸せにしていこうという覚悟です。そこから先に進んだとき、人々の求めているものを生み出そうという原動力になっていくと思っています。

 ではいざ、自分がやるべきことが目の前にいくつかあったとき、それらをどうやって選べばいいのか……。答えは簡単です。順にやってみればいいのです。こちらの仕事をやっているうちに、別の仕事は同僚の誰かがさらっていってしまうこともあるでしょう。しかし、何かをやっている間に逃げていってしまったものは、最初から自分の選択肢ではなかったと考えればいいのです。自分が本当にやるべきことは、一つの仕事にかかりきりになっていても、結局は何かの形で自分が関わる余地が残るはずだと思います。

 私はいつもこう考えています。手のひらの空いた部分にしか、新しいものは乗らない、と。

 自分の選択肢ではなかったものは、潔く手放す。あるいは、落ちてしまったものはその瞬間につかんでいるべきものではないと考える。いつまでもつかんでいようとすると、手のひらが空かないので、次の本当の選択肢が乗ってきてくれない。

 そうはいっても、「自分にはまだ、迷いも他の選択肢もない瞬間が訪れていない」という人も多いかもしれません。そういう人には、この言葉を贈ります。「あなたは自分の手のひらをいつも見つめていますか? 何かを手放す覚悟はできていますか?」。

<次回に続きます>

文/成田真理 写真/PIXTA

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