「嫌われ上等」の精神を

 私の大好きな言葉に、「嫌われ上等」というのがあります。相手に嫌われてもいいから、「私はこう考えて、こう動くけれど、あなたは違うんだよね。違うから面白いんだよ」と言ってチームのメンバーに加えていくというのが私のやり方です。つまり「嫌われ上等」の裏側に、「嫌われてもいいからきちんと説明しよう」という考えがあるのです。

 会社というのは、自分とは考えの違う人や、苦手な人だらけだと思います。ですから、そういう人を積極的にチームに取りこみ、チームを大きく強くしていくという発想が必要です。

 あなたが入社して10年目ほどの社員だとします。自分の下にいる、新卒で入社してきた若い人たちはいったい何を考えているのかわからない。一方で、自分の上にいる上司や先輩たちの言うことは古臭くていちいち腹が立つ。こう言ってしまうことは簡単です。だいたい、10歳、20歳の世代の開きがあるということは、受けてきた教育の方針や内容も大きく異なります。異次元空間で育った人同士が違うのは当たり前のことですから、わかり合おうとしなければチームなど成立しません。

 そこで、こう考えてみたらどうでしょう。「違う時空を生きてきた厚い層のメンバーに恵まれている」「このチームには新しい考え方のメンバーもいるし、昔ながらの安全なやり方を示してくれているメンバーもいて、とても豊かだ」。あなたの発想をそんなふうに一つ変えるだけで、あなた自身が変わります。さらにあなたの変化が周りの考え方や行動も変えていくことになるのです。そしてそれが、新しいものを生み出す力になっていきます。

<次回に続きます>

文/成田真理 写真/PIXTA

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『会社を辞めないという選択―会社員として戦略的に生きていく』

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