指摘をするときに、意識的に行うべきこととは?

 本人への指摘の仕方にも、コツがあるのではないでしょうか。「あなたのここはまだできていないけれど、それより長所をもっと伸ばそうよ」と言われれば、本人もやる気を出せますし、同時に自分の欠点を自覚することもできます。

 一番いけないのは、本人に対して欠点を指摘せずに放っておきながら、本人のいないところで他の人に対してその愚痴をこぼすことです。欠点を直せないばかりか、いいところを伸ばすことさえできません。最強のチームを作るというのは、才能豊かなメンバーを集めるだけではなく、みんなに力を発揮させてこそ、実現できるのです。

 私はよくいろいろな人から「奥田さんのところには、なぜこんなに人が集まってくるんですか」と質問されます。実は、その答えは自分でちゃんとわかっています。私のところに来れば、その人のいいところを探した上で、足りないところをきちんと教えるので、本人のモチベーションが上がるのです。

 同じことは誰にでもできるはずです。あなたがそういう存在になれば、わざわざ関わりを持とうというアクションをあなたから起こさなくても、向こうから人が集まってきて、必ず仕事がうまくいくようになります。

 何より、人のいいところばかり考えれば、自分自身が楽しくなれると私は思うのです。その行為を突き詰めていくと、自分はいつも、優れた能力を持つ素敵な人たちに囲まれているという意識が持てるようになるからです。

 とはいえ、世の中はきれいごとばかりではないのが常で、計算高くあなたに近づく人や、負のオーラを持ってやってくる人もいっぱいいます。しかし、負のオーラというのは、明るく前向きなオーラには勝てないものです。私がいいところを見つけ出し、モチベーションを上げて明るいオーラを持っている人たちが周りにたくさんいると、その人たちが負のオーラを消してくれる。だから結局は私がいつも、明るいオーラを持つ人たちに囲まれている結果になると、経験から十分学んでいるのです。あなたにもぜひ、体感してほしいと思います。

<次回に続きます>

文/成田真理 写真/PIXTA


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