あなたがどんなアプローチをすれば相手が変わるか?
ここまでは主に上の立場から部下や後輩にどう接するのかという話をしてきましたが、次に、上司や先輩といった目上の人に対してはどう接すればいいかを考えていきたいと思います。
私は、誰かをリードして、指示を出すだけが会社を動かすということではないと思っています。上司にとっていい部下とは、上司の言うことを何でも聞く人ではなく、「自分が何をしたらこのチームが伸びるのか」を考え、上司をサポートする人です。誰かを支えるということもまた、立派に会社を動かし、伸ばしていく原動力になるのです。
そこで部下は、上司がどういうタイプか、部下には何を求めているのかを、徹底分析してつかんでおくこと。まずはこれが上司の攻略法の出発地点です。
もちろん、上司に媚びろということではありません。例えばもし上司が、「仕事を全部任せるから責任を持ってやってほしい」というタイプだったら、要所要所で最低限かつ的確な報告をするべきでしょう。反対に「進捗を逐一知らせてくれなければ気が済まない」というタイプなら、自分が考えている以上に報告のポイントを増やしていく必要があります。実際にどこまで上司をサポートするかは別にしても、仕事を円滑に前に進めるために、上司がどんなタイプなのかはぜひ押さえておくべきです。
そして共通して言えることは、どんな上司に対しても「自分と上司がいてこそ、共に結果を出せた」という着地にできるようにすることです。つまり、同じ方向を見て結果を出せるようにするために、まずは自分の姿勢を見直してからアプローチする必要があります。
そこで私が提案したいのは、「自分がこの人にこういう影響を与えたら、この人はこう変わる」という視点で、上の人と関わりを持とうということです。分かりやすく表現すると、こうなります。
「○○に自分が△△したら、□□になる」
「○○」には人の名前が、「△△」には自分がするべきことが、「□□」には相手あるいは相手を含めたチーム全体の変化の様子が入ります。「この部長を自分が笑顔で支えたら、職場の雰囲気が楽しくなる」「この人を自分が励ましたら、もっと一生懸命働くようになる」という具合に、単純な図式で構いません。大切なのは、自分が積極的に関わることで、一人ひとりの戦力を引き出し、モチベーションを上げて、チームの力を伸ばせるということです。
<次回に続きます>
文/成田真理 写真/PIXTA
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