ピンチのときも誰かが支えてくれる

 プライベートでは、結婚や出産、育児によって、仕事との向き合い方の変化を迫られるのも女性の悩みの一つです。田中さんと渡辺さんは子育てをする中、仕事を辞めようと思ったことはなかったのでしょうか。

両立で悩んでいたとき、先輩方の言葉で救われました(渡辺さん)
両立で悩んでいたとき、先輩方の言葉で救われました(渡辺さん)

渡辺さん:子どもたちが幼い頃は両立が本当に大変でしたね。子どもが病気のときに、「ママにいてほしい」と言われたことがあって、私はそれでも仕事に行かないといけなかった。この子たちのために、仕事を続けることが本当に正しいのかな、と考えたこともありました。でも、先輩方が「子どもが成長したら、きっと頑張ってるママを応援してくれるよ」と言ってくださったんです。その言葉で救われた気がしますね。

田中さん:私は育児休暇から復帰した頃、仕事は残ってるけど早く保育園にお迎えに行かないと! と焦ったりして、悶々(もんもん)としていました。そんな中、東日本大震災が起きて、すぐに子どものそばに行ってあげられなかったことはつらい経験でした。でもある日、後輩たちを自宅に招いたときに、「仕事と家庭、どちらも頑張ってる田中さんみたいになりたいです」と 後輩が言ってくれたんです。自分では仕事も家庭も中途半端だと思って落ち込んでいたので、本当に励まされましたね。

けん引するだけがリーダーじゃない!

 いくつもの葛藤を乗り越えて、現在は幅広い年代の部下のマネジメントを任されているお二人。育成方法に悩みは尽きないと言いますが、実践するのは部下に寄り添う「支援型」リーダーとしての役割のようです。そのポリシーとは?

渡辺さん:おだて過ぎてもよくないので、ある程度叱ることも意識しています。でも、ミスにはいろいろな原因があったりするので、叱るときには「なぜできなかったのか?」をしっかり聞くようにしています。褒めるけれど、きちんと叱る。すごく体力を使うことですが、後輩たちの成長がかかっていますから、とてもやりがいのある仕事ですね。

「営業実績を上げるためにメンバーにどう動いてもらうか。心配りが大事」(田中さん)
「営業実績を上げるためにメンバーにどう動いてもらうか。心配りが大事」(田中さん)

田中さん:私は営業のチームリーダーとして、数字を達成するためにいい企画を立てて、メンバーのみんなに動いてもらって、営業実績が上がることがいちばんマネジャー冥利に尽きますね。年上の部下もいますが、人生の先輩に対しては上から物を言うのではなくて、心配りが大事なんじゃないかと思っています。注意をしなければいけないときは、周りからは見えないところでお願いするようにしていますね。