穀類は不溶性食物繊維の代表格ですが、炭水化物を多く含むため、最近では「炭水化物ダイエット」「糖質ダイエット」などといって嫌われ気味です。「炭水化物は糖と食物繊維からなりますが、食物繊維の割合が少ないため、イコール糖とみなされています。糖もエネルギー源として必要なもので、やみくもに減らすのはよくありません」と山口さんは指摘します。

 食物繊維の摂取源として最適な穀物は大麦。「日常的に取りにくい水溶性食物繊維が不溶性食物繊維の2倍近く含まれています。大麦だけを大量に食べるのは難しいので、白米に混ぜるなどの工夫をしてみて」(山口さん)

 また、食物繊維は取れば取るほど便の量が増えますが、穀物から食物繊維を取った方がより多くなることも研究で分かっているそうです。

食物繊維と腸の働きの関係とは

 次に話題は食物繊維と腸の関係へと移ります。

 腸内には数百種類とも数千種類ともいわれる菌がいて、ビフィズス菌などの善玉菌、大腸菌などの悪玉菌、その時々で優勢なほうにつく日和見菌の3つに分類されます。これらが2:1:7の割合で存在しているのが健康な成人の腸内環境。バランスさえ整っていれば悪玉菌も敵視する必要はありません。

 食物繊維は、そんな腸内細菌の「エサ」になることが分かってきたというのです。どういうことなのでしょうか。「消化されず大腸に到達した食物繊維を腸内細菌が発酵・分解することで腸内が酸性に保たれ、免疫力が高まるのです」(山口さん)。反対に食物繊維が不足すると、腸を守る表面の粘膜が腸内細菌のエサにされてしまい、感染が起きやすくなるといいます。

 アメリカの研究では、穀物(全粒穀物)から食物繊維を取ることで、糖尿病やがんによる死亡リスクと、循環器疾患や脳卒中などの発症リスクを下げるという結果も出ています。「欧米ではがん予防の食生活として玄米や野菜、果物、根菜類の摂取を推奨。日本でも1日350グラムの野菜と100グラムの果物の摂取を推奨しています」と山口さん。ちなみに長寿県といわれる長野は野菜の摂取量が日本一。りんごやブドウといった果物摂取量も多いのが特徴です。

 食物繊維と腸の働きが分かったところで、気になるのは日々の食事の取り方です。山口さんが参考にとおすすめするのが、農林水産省の「食事バランスガイド」。1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安がイラストで分かりやすく示されていて、同省のホームページで見ることができます。「あまりがんじがらめにならずに、リラックスして心掛けるくらいがいいでしょう。食物繊維の多いものから食べて炭水化物は後にするなど、順番も意識してみてください」

「日々の食事の取り方も意識してみてください」と山口さん