職場恋愛には踏み込めない

 尊敬する先輩に認めてもらえる――。仕事の大きな喜びの一つですよね。その直後、直子さんはグループ内の別会社に出向となりました。管理職を目指す前の「武者修行」に出されたのかもしれません。直子さんの仕事ぶりを会社もちゃんと見ているのでしょう。

 会社に対する直子さんの姿勢も変わりました。それまでは「公私をきっちり分ける」タイプで、同僚との飲み会はできる限り断っていたそうです。10年以上も同じ組織で働いているので「わざわざ飲まなくてもみんなを知っている」という甘えがあったと直子さんは振り返ります。

 見知らぬ人ばかりの出向先ではそうはいきません。少しでも早く仕事を覚え、同僚とのコミュニケーションも円滑にするために、飲み会にも積極的に参加することにしました。ただし、素敵な男性社員がいても恋愛関係になることはなかったそうです。

 「そういう意味での人間関係はビシッと切っていましたね。切らなければよかったな、と今さら思うこともあります」

 末っ子の甘え好きだと自認している直子さん。でも、倫理観と自意識の高さによって職場恋愛には踏み込めなかったようです。

 そんな直子さんに恋の季節が巡ってきます。相手は、旅先の離島で知り合ってから5年来の友達である俊行さん(仮名)。直子さんより1歳年下の会社員で、ハードな山登りを趣味にしているパワフルな男性です。しかし、お付き合いを始めてから4カ月後には別れてしまいました。いったいどうしたのでしょうか。続きはまた来週にお話しします。


文/大宮冬洋 写真/鈴木愛子

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