社内の既婚男性とどうしても比べてしまう

 直子さんは現在、管理職研修を受けています。同じ研修の場にいる感じのいい男性社員たちと、お見合いで会う男性たちを比べてしまうこともあるようです。

 「ずっと東京にいる私たち女性と比べて、地方勤務で鍛えられて帰ってくる男性たちは迫力が違います。優秀なのにどっしり落ち着いているんです。さすが将来の経営層、という感じがします。もちろん、ほぼ全員が既婚者です」

 結婚相談所に登録していた直子さんにとっては聞き飽きているアドバイスかもしれませんが、それでも一言だけ言わせてください。すてきに見える既婚男性たちは、仕事だけではなく、配偶者の女性との共同生活で成長した一面が必ずあります。子どもがいる場合はなおさらでしょう。独身の直子さんが探すべきなのは箱入りの宝石ではなく、野にある原石なのです。その石を自分好みに磨く過程を楽しむ気持ちも大切だと思います。直子さんによれば、原石を一つだけ見つけたものの、磨く段階には至らなかったようです。

 「結局、お見合いを含めて3回会った男性は一人だけでした。その人が激しくアプローチしてくれたら私の気持ちも揺らいだかもしれませんが、そんなことはなかったのでお付き合いをするには至りませんでした。結婚相談所の人からは、『積極的にアプローチできるような独身男性は残っていないよ。みんな自信がないんだよ』と諭されましたが、なぜ私だけがピエロのように男性を持ち上げなければならないのでしょうか。納得できません」

 職場ではリーダーとして頑張っている直子さん。恋愛においては「引っ張ってほしい」「いろいろ教えてほしい」という末っ子気質は変わらないのです。ただし、最も出会いの可能性が高い社内では、男性と比べても昇進が早い直子さんから距離を置く人も少なくありません。目立ってしまうと嫉妬や羨望の対象になりやすいのですね。

 「今の私を可愛いと思ってくれる男性は50代でも少ないように感じます。60代の役員クラスとか、70代の退職世代とか……。もともと恋愛偏差値の低い私ですが、最近は男性を好きになることすら忘れてしまいました」

 一目惚れをしたりされたりするタイプではないと自覚している直子さん。趣味や仕事を通じて長く交流がある人をじっくりと好きになりたいのです。突破口は「向こうから好きになってもらえると私もすぐに相手を好きになる」という点。20代の女性だったら「悪い大人に気をつけなさいよ」とアドバイスしたくなりますが、40代に入った直子さんならば明らかな美質だといえます。その軽さ、大事にしましょう。

 自分から好きになろうと思うと、周囲の立派な既婚男性を思い出したりして、ついハードルが上がってしまいます。そうではなく、「自分を好きになってくれる人ならばたいていOK」という大らかな姿勢でいれば、きっと良き人が見つかると僕は思います。もし相手が甘えたところがある頼りない年下男性だったとしても、今度こそちゃんとつかまえてくださいね、直子さん!


※来週は新たなキャリア女子のラブストーリーをお届けします

文/大宮冬洋 写真/鈴木愛子

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