「父は、私がバツイチ男性と結婚するのを許さないでしょう」

 美絵さんの話を聞いていると、第2話で登場した中小企業の幹部社員である洋二さん(仮名、45歳)と一度はお付き合いしてみるのが結婚への近道な気がします。美絵さん自身も「家族になるには向いている人かも」と感じているからです。もちろん、月2ペースで会っているという既婚者の久幸さん(仮名、37歳)とはきっぱりお別れしなければなりませんよ。

 しかし、美絵さんはどうにも気が進まない様子。安全な匂いしかしない洋二さんを男性としては見ることができないのに加えて、バツイチである洋二さんを両親に紹介することは難しいと考えているようです。

 「うちはバツだらけの家族なんです。姉はバツイチの独身、兄は3回目の結婚生活を送っています。父は前妻と死別して、私は後妻の子どもです。ちなみに両親の仲は冷え切っています。家にいる子どもは私だけですが、私がいることでバランスを取っているところがあります。両親は箱入り娘である私に離婚歴のある男性との結婚は許さないでしょう」

 円満とはいえない家庭だからこそ、箱入り娘の夫となる人には大きな期待を寄せてしまうのかもしれません。しかし、美絵さんはいま36歳。東京などに比べると結婚が早い地方都市で暮らしているので、周囲の目ぼしい同世代男性はほとんどが結婚しています。

 だからこそ言いたい。離婚にもいろんな理由があります。失敗から学ぶことは多くて、再婚相手に対して過大な要求はしなくなるのが通例です。

 ちなみに僕もバツイチですが、夫婦げんかをすると途中から「多分オレが間違っているんだろうな」と反省モードに入ります。我ながら少しは謙虚になったと思うのです。美絵さんもバツイチぐらいは許容してほしいな……。

 「父親が責任を感じたのか、男性を紹介してくれたことがありました。2歳年上であるオーナー企業の跡取り息子です。バツはありません(笑)。職人やオーナーが好きな私にはちょうどいいですよね。でも、グレープフルーツすら食べられないほど甘いモノ嫌いで、ワインを一度に3本も飲んじゃうほど大酒飲みだとわかりました。ちょっとメールのやりとりをして音信不通です。あえてこの人を選ぼうとは思いませんでした」

 仕事はきちんとやり、感じも良い美絵さん。年上を中心にいろんな人に好かれています。男友達も少なくありませんが、男性として見ようとすると減点方式になってしまうのです。だけど、少しでも早く結婚して子どもを産みたい――。いろいろこじれてしまっていますよね。

 美絵さんはいったいどうすればいいのでしょうか。第1話の最後に「何を変えるべきかを一緒に考えませんか」と言い出したにもかかわらず、僕には結論が出ませんでした。ごめんなさい。確かなのは、矛盾を抱えているけれど元気な美絵さんとあれこれおしゃべりしながら飲むお酒はおいしい、ということだけです。

(再来週は新たなキャリア女子のラブストーリーをお届けします)

文/大宮冬洋 写真/鈴木愛子

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