大切な仕事の場に恋愛感情は持ち込みたくない

 女性のほうから見ても、自分はようやく仕事が面白くなってきて無我夢中で働いているのに、相手の男性が「まったり」していたら恋心は持ちにくいでしょう。貴彦さんのことが忘れられないという章子さんですが、20代後半の時点で貴彦さんと再会していたら、地元至上主義の彼を物足りなく感じていたかもしれません。

 当時の章子さんが恋愛をするならば社内しかないと僕は思います。実際、同じ職場で気になる先輩がいたそうです。

 「何を聞いてもスマートな回答をしてくれる人でした。私が納得するまでお話をしてくれる人が好きなんです」

 ただし、章子さんはその先輩にアプローチをすることはありませんでした。それどころか現在に至るまで社内恋愛には慎重な姿勢を保っています。

 「結婚して地元で暮らしている弟から『男には絶対に言うな。ドン引きされるから』と言われていることがあります。それは、私にとって仕事がとても大切だということです。寝ても覚めても仕事のことを考えています。やればやった分だけ充実感と生活の糧を与えてくれて、知らないこともどんどん経験させてくれるのは仕事ですよね。そんな大切な場所に恋愛感情を持ち込みたくはありません」

 この感覚は、年齢を重ねて社歴が長くなるにつれて強まっていきますよね。会社内・業界内の知り合いが多くなり、自分の責任も増していくので、「下手なこと」がしにくくなるのです。