結婚して守りに入りたくない

 章子さんの自己評価は決して高くはありませんが、客観的に見ると明らかに「バリキャリ」です。超大手企業の総合職として鍛えられ、30歳のときに現在の外資系メーカーに引き抜かれた章子さん。35歳のときに管理職に昇進し、営業のスペシャリストとしてのキャリアをばく進しています。

 「中途の女性社員でも差別されることはない職場です。地方転勤も含めて、男性社員と同じ経験をさせてもらっています。でも、外資系の日本支社なので(担当分野である)日本市場しか見られないのはちょっと不安材料ですね。将来のことを考えると、もう一度ぐらいは転職するかもしれません」

 これほどキャリア志向の人は、有名大卒の男性でも多くはありません。現在の生活を優先して、地方転勤や海外駐在を断る人もいるぐらいです。好奇心旺盛で根性もある章子さんは「グローバルエリート」を目指すのにふさわしいと思いますが、相手の男性にも同じぐらいの意識を求める必要はありません。相手もキャリア志向の場合、住む場所などで利害が衝突してしまう可能性もあります。

 「私はまだ苦労ができる年齢です。もっともっといろんなことを経験したい。遊びからでも吸収できますが、さまざまなことを一番効率よく与えてくれるのが仕事だと思うんです。結婚して守りに入りたくはありません」

 章子さん、その不安と展望を慎吾さんにも率直に話してみたらどうでしょうか。僕の予想では、慎吾さんは喜んで受け入れてくれる気がします。仕事を通じて貪欲に人生を楽しもうとする章子さんを尊敬し、「オレもオレなりに頑張ろう」と奮起するかもしれません。案ずるより産むがやすし、ですよ!

(来週は新たなキャリア女子のラブストーリーをお届けします)

文/大宮冬洋 写真/鈴木愛子

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