部下に向かって暴言を吐く彼を目にして……

 「一緒にタクシーに乗っているときに、彼が携帯電話で仕事の話をしていました。そして、ミスをしたらしい部下に暴言を吐いたのです。『てめえ』なんていう言い方で。他人をそんな風に罵倒する人と一緒に生活をするなんて考えられません。30代半ばになっていた彼は私との結婚を考えていたみたいですが、私のほうは『もっといい男性がいるはず。他を探したい』と思いました」

 幼稚で暴力的な一面を抱える男性は少なくありません。あまりにもひどい場合はさっさと別れるほうが身のためですが、康平さんのように「部下への言葉遣いがひどい」程度であれば矯正できる余地もあると思います。ただし、そのためには人間的に尊敬できる上司や配偶者と出会い、彼らの背中を見て自らの未熟さに気づくことが必須です。康平さんより6歳下の28歳だった明美さんには荷が重かったのでしょう。

 康平さんと別れたことは後悔していない明美さん。しかし、29歳になったあたりから「恋愛の暗黒時代」に突入してしまったと振り返ります。

 「地元から一緒に上京した友だちはみんな結婚して、合コンの声がまったくかからなくなったんです。仕事の責任はさらに重くなり、だけどうまく回せるようにもなって、仕事一色の生活になりました」

 自分のペースで仕事ができるようになったのだから、時間を作って社会人サークルなどに参加して出会いを求めればよかったと明美さんは反省しています。当時はどんな心境だったのでしょうか。

 「あえて群れたくない、なんてカッコつけていたんです。私、バカだったな……」

 30代になってからは体調も思わしくありません。蓄積した疲労とストレスが原因で、激痛を伴う帯状疱疹を3度も患ったことがあります。