男女の決定的な二つの違い

 個人的には、「男女」の二元論で語ることには抵抗がありますし、そんな単純に分けられるわけないだろうとも思います。しかし、二つの座談会の記事を読む中で、実感として圧倒的な違いを感じた部分があったことも事実です。私が決定的な違いだと感じたのは、以下の二つでした。

(1)女性たちは「現実」に立脚してものを考えているのに対し、男性たちは「ファンタジー」の世界に生きている

(2)女性の座談会はAさんからDさんまでそれぞれ個性や考え方の癖が見えてきたが、男性座談会のほうは全員同じように見えてしまって4人の区別がほとんどつかない

男性たちは「ファンタジー」の世界に生きているのね… (C)PIXTA
男性たちは「ファンタジー」の世界に生きているのね… (C)PIXTA

 まず(1)に関してですが、1ページ目でも述べたように、女性たちの発言はひたすら具体的かつ現実的です。つまり、「事実(=実際に起こった事、実際に抱えている事情)」に即してものを考え、言葉を発している。こう言うと当たり前のことのように感じるかもしれませんが、男性たちの発言にはこういった部分が決定的に欠けています。

 例えば男性Cさんは「経済力のある女性が養ってくれるなら、専業主夫になるのもアリだと僕は思っています」と言っていますが、家事労働や子育てに関する具体的な考え方やスタンスが語られることはなく、彼の言う「専業主夫」がどんなものなのか、そのイメージは極めて漠然としています。

 万事このような感じで、「自分たちはこだわり過ぎだってことは自覚しています」と語るわりに、何にどうこだわり、それがなぜ結婚できないことにつながっているのか分からないし、育児は積極的にやりたいと語るわりに、そのイメージは「公園に行って遊ばせる」という非常にふわふわしたものでした。お金の話は「センシティブですから」「付き合ってる女性ともしない」と語り、「結婚とは何か?」という問いに至っては、「何も思い浮かばないです……。真面目に考えると、分からない」と回答しています。

男性の特徴は「ファンタジー」&「アノニマス」

 思うに、われわれ男性は、面倒で複雑な現実の諸要素を切り落とし、自分にとって都合のいい断片的なイメージだけで構成されたファンタジーの世界に生きているのではないか……。だから、よく言えば軽やかな、悪く言えば無責任な発言ばかり繰り返すことができるのだと思えてなりません。

 これは男性全員に共通する態度で、(2)に挙げたように、男性のAさんからDさんは、職業も育った家庭環境も違うはずなのに、ほとんど区別がつかない。おそらく彼らに仕事のことを語らせたら、それぞれの個性がもっと見えてくるはずです。しかし、こと恋愛や結婚のことになると、途端に顔の見えない、いわゆる匿名の「アノニマス」になってしまう──。これも男性の特徴の一つと言えるかもしれません。

 もちろんすべての男性がそうだとは言いませんが、かく言う自分の中にもこのような側面がないとは言い切れず、男性たちがわいわい語らう様子は、まるで鏡を突き付けられているような心地で、思わずゾッとさせられる瞬間が多々ありました。

***

 何だか男性に厳しい声が多くなってしまって恐縮ですが、男女それぞれの座談会を読み解いていく中で、このような結論に行き着きました。

 女性と男性では、結婚に対する考え方に大きな乖離がある……。そのことをまず認識した上で、男性は考えてなさすぎな結婚観をアップデートするため、女性は突きつめすぎた結婚観を緩和するため、男女で結婚に関する語らいの場を増やしていくのはいかがでしょうか。

文/清田隆之(桃山商事)写真/PIXTA