困難を乗り越える「知恵」や「方法」を学ぶ機会

―厄年は、実は「仕事で活躍できる年」なんですね! でも、もしも「ついてないな」と思うようなことが起こったら、どういう対処をするのがいいんでしょうか?

 「厄」を「役」と捉えて新しいことに挑戦するように、厄年は「考え方」や「物事の捉え方」を、ポジティブな方向に変えていくチャンスでもあります。

 例えば厄年を「冬」だとすると、冬の寒い時季に、「凍えそうだからずっと家にいよう」と考えるのか、それとも「コートを着て暖かくすれば大丈夫。外に遊びに行こう」と考えるのか。この考え方一つで、冬の楽しさは違ってきます。

 外の気温が低いなら、誰だって寒さを防ぐためにコートを着ますよね。これと同じで、変化が訪れやすい厄年には、より良く変わっていくための「考え方」や「捉え方」を身に付ければいいんです。寒さを嫌がってずっと家の中にいては、冬を楽しむ知恵も方法も得られません。厄年こそ、変化や困難の乗り越え方を学ぶいい機会なんです。

 そもそも、世の中に起きていること自体に「吉凶」はなく、人生は、その人がどう捉えるかで変わってきます。例えば水たまりを見つけたときに、大抵の大人は「水が跳ねたら服が汚れる」と考えるかもしれませんが、子どもにとってみれば、水たまりは楽しい遊び場。このように、考え方や捉え方の違いで、同じ出来事が「吉」にもなれば「凶」にもなる。だからこそ厄年のときには、一見マイナスに見えるような出来事を、プラスに捉えていくことが大事なんです。

生田目先生も経験者、ポジティブな考え方はずっと使えるスキル

―急にポジティブ思考になるのは難しそうですが、普段の生活の中で、無理せず挑戦できることはありますか?

 私も厄年のときには、いろいろな経験をしました。何より30代の頃は、「ミス・ネガティブ」と言えるくらい、後ろ向きな考え方をしていたんです。というのも、この頃は厄年のことは「厄」であると自分でも捉えていたんです。当時は8年間くらい勤めていた会社があったのですが、朝起きるのも通勤するのもつらく、電車の中では自分以外の人がみんな幸せそうに見えて、人を羨む毎日を過ごしていました。そして金曜日になると、休みを楽しみにするどころか、「土曜日と日曜日が過ぎたらまた月曜日……」と、落ち込むほどだったんです。

 私自身が厄年の頃にそういった経験をしてきたので、急に「考え方や捉え方を変えよう」と言われても、「そんなの難しい」と思う人の気持ちはよく分かります。ですから無理はせず、少しずつでもいいので、できることからチャレンジしてみてほしいと思っています。私も厄年を迎える前に、「厄」は「役」であると分かっていたら、もっとポジティブにすてきな30代を過ごせていたのかと思うとちょっと悔しいですね(笑)。

 例えば、朝起きたときには「今日はどんな良いことがあるんだろう」と考え、夜寝るときには、「その日に起こった良いこと」を思い出す。これだけで、少しずつ考え方が変わってくると思います。そしてマイナスのことを考えそうになったら、逆にプラスのことを考えるように意識してみる。もしもネガティブなことを考えたとしても、すぐに「なーんちゃって。今のはウソ」と、心の中でつぶやけば大丈夫。両手の指で「×」印をつくって、マイナスの発言を取り消すサインを出すのも効果的です。

 私もそうして少しずつ発想をポジティブにしていき、今では「苦しい毎日だったけど、経験できてよかった」と思えるようになりました。すぐには変われないので時間はかかりますが、頑張って続けていれば、必ず結果は出ます。一度身に付ければ、厄年を過ぎた後もずっと使えるスキルになるので、皆さんにはぜひ挑戦してほしいと思っています。