解決策を探すために、相手が欲していることの背景を知る

 「相手が欲していることの背景にある気持ちに、まずは寄り添いましょう。例えば、『離れた席に座っているお子さまを、自分の隣のA席に座らせたい』というお客様は、お子様の様子が心配なのかもしれません」と河野さん。ここまで想像力を働かせると、どのような提案をするとよいのかが見えてきます。

 「そのようなときには、A席をご用意できない状況だとしても『こちらのB席でよろしければ、お子様と一緒にお座りいただけますよ』など、心情をくんだ提案ができるといいですね。そうすれば、気持ちをくんでもらえたという満足感によって場が収まることもあります」(河野さん)

「ご要望に応えられないときは、互いに許容できるような代替案を提示できるといいですね」と河野さん

時間・場所・人を変えてみる

 怒りのあまり相手が聞く耳を持たない状態であれば、シチュエーションを変えてみるのもいい。少し時間をおいたり、別の場所で改めて声を掛けてみたりすると、気持ちも落ち着いている可能性もあります。また、周囲の人に状況を説明し、人を変え対応するのもおすすめだと言います。

 「時間・場所・人という要素を変えてみれば、相手の様子も変化し、聞き入れてくださることもありますね。自分一人で慌てて解決しようとせず、上司や仲間に相談するなど効果的な方法を考えてみるとよいでしょう」と河野さん。

 また、怒ってしまったが最後、振り上げた拳を下ろせなくなっている……というケースも多いものです。「引くに引けない状況で相手が戸惑っているとしたら、拳を下ろしやすくするような配慮をしたいですね。自分が受け止めた怒りは水に流し、何ごともなかったようにこちらからサッと手を差し伸べれば、穏やかな関係性を取り戻しやすいと思いますよ」(河野さん)。

 相手の言い分に振り回されるのではなく、視野を広く保ったままで、まずはその真意をつかむ。さらに、相手の気持ちをきちんと尊重した上で、両者にとって適切な着地点を見つける。こうしたCAさんの会話術は、職場はもちろんプライベートでも、あらゆる場面において応用できそうですね。

文/西門和美 写真/稲垣純也