400万円で人生幸福度が90点のTさん

Tさん(39歳) 独身、一人暮らし
手取り年収:300万円
資産総額:400万円
人生幸福度:90点

 一方、貯蓄が400万円で、人生幸福度が90点というTさん(39歳)は、フリーランスの絵画講師をしています。

 「今の預貯金は100万円台後半で、投資をしている分を合わせて、資産総額は400万円くらいです。新卒で立ち仕事の接客業をしていたのですが、腰を悪くしてしまい、その後は派遣社員など、さまざまな仕事をしてきました。数年前に絵画という特技を生かそうと思って、絵画講師としてフリーランスになりました。

 昔から貯めるのが苦手で、新卒から10年ほど実家暮らしだったのに、お給料が入ったら全額使い切ってしまうので、貯蓄0円生活でした。30歳を過ぎて一人暮らしを始め、『これではいけない!』と思い、1年間で100万円を目標にして貯蓄を始めました。お小遣い帳を付けて、出費の要不要を意識するようにしたんです」(Tさん)

フリー開業に200万円使って、貯蓄はダウン

 そして33歳の時にフリーランスになると決め、開業資金として600万円を目標に貯めることに。無事600万円の貯蓄額に達成してフリーランスになった後は、小規模企業共済、個人型確定拠出年金、つみたてNISA、純金積立、養老保険などをスタート。「会社員に比べてフリーランスは社会保障が手薄なので、退職金や老後資金などを準備しなくてはと思い、いろいろ調べて実行しています」

 仕事関係の費用がかかり、現在の貯蓄は400万円にダウン。ですが、好きなアーティストのライブにはお金を惜しまないそう。「ライブハウス中心なのですが、行きたいものがあれば、積極的に行くようにしています。お客さんとして来ている異業種の方とも知り合いになりますし、好きな曲や演奏を運よく聞くことができると幸せな気持ちになります。ストレス発散にもなりますね」

「今は幸福、だけど安心じゃない、満足してはいけない」

 貯蓄総額が400万円で、人生幸福度が90点だというTさん。

 「貯蓄だけを考えたら不安はありますが、生活に困っているわけでもありませんし、家族や友人に恵まれ、好きな仕事ができているので『人生の幸福度』は非常に高いです。

 ですが、『幸福度』と『満足度』と『安心度』は、全く別だと思います。『満足度』が高くなったら、慢心してしまうので危険。モチベーションを上げていくために、現状に満足をしないように意識しています。

 人生の『安心度』でいえば、今は非常に低いです。貯蓄がもっと増えれば安心するとは思いますし、好きなことにもっとお金を使うことで、自分自身の幅が広がるとは思っています。でもそのことで、自分が幸福と感じるかどうかは、その場になってみないと分かりません。

 貯蓄は幸福になるための一つの手段だとは思いますが、それがすべてではありません。もし我慢をして貯蓄できても、万一早死になんかしてお金を使えなかったら、取り返しがつかないほどの不幸だと思います。でも、お金があって好きなことに使えるのであれば、幸福につながるかもしれません。無理がない程度に貯蓄を増やしていくことで、人生の満足度や安心度を高めていきたいと思います」(Tさん)