7月17日に開催された「WOMAN EXPO FUKUOKA 2016」(アクロス福岡)、7月30日に開催された「WOMAN EXPO OSAKA 2016」(ハービスHALL)の両イベントで、ひときわ会場で爆笑が起こっていたのは「桐谷広人さんの『女性のための株主優待入門』」でした。テレビ番組で、その際立ったキャラクターと現金を一切使わない生活ぶりが注目を集めた桐谷さん本人から話が聞けるとあって、事前予約も早々に埋まってしまうほどの盛況ぶり。株主優待のことはもちろん、テレビ業界の裏側も分かる内容充実の45分間でした。

お茶菓子のお礼に株を買ったのが始まり

満席の会場で株主優待について軽快に語る桐谷広人さん
満席の会場で株主優待について軽快に語る桐谷広人さん

 もともとプロの棋士であった桐谷さん。バブル全盛期には、証券会社の将棋好きが集まるサークルで将棋を教えながらも、「株はギャンブルだから」とまったく投資に興味がなかったと言います。ところが、「ある将棋好きの支店長がいつもおいしいお茶菓子などをごちそうしてくれるもんだから、お礼に少しでも売り上げに貢献できれば、と初めて株を買ったんです。すると他の証券マンからも購入を勧められましてね。当時は放っておいてもどんどん値上がり。ついに資産2億円に達しました」(桐谷さん)

 しかし1989年にバブルがはじけて以降、資産はどんどん目減り。2007年57歳で棋士を引退した翌年にはリーマンショックのあおりを受けて大損し、現金の蓄えも底をついてしまったのだそう。それからは毎月十数万円の家賃の支払いすらギリギリだったため、とにかく現金を使わない、株主優待制度を最大限に活用して暮らす生活を始めることとなるのです。

 2012年、現金を使わず株主優待だけですべてをまかない、移動はどこに行くにもママチャリ、という独特のライフスタイルがテレビ番組で紹介されるやいなや、桐谷さんは一躍注目の存在となりました。さらに近頃、各地での講演やコメンテーターなど活躍の場が増えているので、現在保有している約700銘柄の優待券を期限までに使うのに四苦八苦しているそう。

 「株主優待の注意事項の一つが、使用期限があるという点ですね。私はこちらの旅行用ポーチに期限の近いものから順に入れて、使いそびれないようにしています」(桐谷さん)