オシャレに、おいしく梅を楽しむ

 梅・梅干しを使った商品や楽しみ方のバリエーションが多様化しているのも近年の傾向とか。例えば、梅干しを漬け込む時に出る「梅酢」には、梅の栄養がたっぷり含まれています。糸井重里のブログ「ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞)」からはオリジナルの梅酢が発売され、直後に完売。NHKのTV番組『きょうの料理』で紹介された、塩分控えめでヘルシーな梅干し「さしす梅」も話題になっています。「女性に人気の梅酒も、焼酎だけではなく日本酒で漬け込んだり、ノンアルコールのタイプが登場したり。東京では、梅酒に特化したバーなどもオープンしています」(渡辺研究員)

 みなべ町からは、玉井さんの会社で作られたハチミツ漬けの梅干しや梅エキス、ブドウ果汁とバルサミコ酢で着けた梅、梅ジャムなどを紹介。梅の生産地ならではの、おいしい食べ方も伝授してくれました。「焼き鳥を漬け込むタレに梅酢を加えると、お肉がジューシーで柔らかくなり、梅のほのかな香りが食欲をそそって絶品の味わいになります。梅酢は価格がお手頃なのも魅力です(笑)」(山下さん)。「ご飯を炊くとき、米1合に対して梅干し1個を入れて炊飯。炊きあがったら、全体を軽く混ぜ合わせると、色鮮やかな『梅ごはん』が出来上がります。梅干しには殺菌作用もあるので、夏のお弁当にもピッタリですよ」(中田さん)

中田さんは、「梅ごはん」の作り方を紹介
中田さんは、「梅ごはん」の作り方を紹介

梅も女性も輝く、みなべ町の魅力

 セッション後半は、みなべ町の魅力について語り合いました。「町をあげて、主力産業である梅を応援しています」と中田さん。2014年に施行された「梅干おにぎり条例(みなべ町紀州南高梅使用のおにぎり及び梅干しの普及に関する条例)」は、梅干しをおにぎりにして地元でも消費していこうという条例。2015年には、「梅干しおにぎりでギネス世界記録」に挑戦し、町内外から400人以上が参加。おにぎりを作る人数で、見事にギネス世界記録の認定を獲得しました。「みなべ町の医療費の少なさは、和歌山県で常にトップクラス。2015年には、梅を食べて健康管理・増進に努めることをうたった『梅で健康のまち宣言』も行われました」(中田さん)

 故郷にUターン就職した中田さんは「都会とほどよい距離感で、里山や海といった自然も豊か。気心の知れた人に囲まれ、まさに“いいとこ取り”です」と話します。最近は若い世代の移住もあり、おしゃれなカフェやパン屋も増えてきているそう。「2月は斜面一帯に、梅の花が絨毯のように咲き誇る光景が楽しめます。5、6月は完熟した梅が地面を覆って、まるで黄色の絨毯のよう。そして、夏は梅を干す作業をご覧いただくことができます。みなさん、ぜひみなべ町にお越し下さい!」(山下さん)。みなさんの熱く語る様子から、梅とみなべ町の魅力が存分に伝わってくるセッションでした。

文/井上麻理子 写真/水野真澄