情報収集にも工夫アリ! そのワザとは?

――同業他社のニュースやトレンドなどの情報収集も大切ですよね。普段は、どのように情報を集めていますか?

 複数のアプリをすきま時間にチェックして、目的ごとに分けて活用していますね。例えば、Instagram、Facebook、twitterなどのSNSでお客様のリアルな意見や反応を調べたり、プレスリリースが集まる配信サイト の「PR TIMES」や「@Press」では、他社の最新プレスリリースをチェックしています。業界の経済情報は、新聞がまとめて読めるアプリや「NewsPicks」のアプリで見ています。業界のイベント情報は「Peatix」を使って調べています。イベントだけではなくセミナーなど、幅広いジャンルのイベント情報が得られるので、重宝しています。

 また、メディアの情報だけに頼らず、「リアルな声」を聞くことも意識しています。例えば、レストランの店舗に行ったときは現場で働く学生のアルバイトさんと積極的にコミュニケーションを取り、彼らから情報を得ることも大切にしています。メディアで最先端のトレンドが紹介されていても、実際には少し前のトレンドがまだまだ現役であることが多いので、二次情報だけで判断しないように心がけています。

ダイヤモンドダイニングのメインブランドの一つ、「わらやき屋」。落ち着いた雰囲気の店内で本格的な土佐料理を楽しむことができ、働く女性にもおすすめ
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――広報に求められる姿勢として、何が重要だと思いますか?

 常にアンテナを張り、好奇心を忘れないことだと思います。

 仕事は様々な人との関わり合いの中で進むので、コミュニケーションが十分に取れていないと、必ずどこかでひずみが生じます。先ほどの鍋の例もそうですが、こちらの意向だけを現場の人に伝えても相手が納得するとは限りません。コミュニケーションを円滑にするには、やはり確かな情報が多いほど自分にも相手にも役立つ上、説得力も増すと思います。常にアンテナを張って、情報収集を大切にしています。

 もともと私は流行を追うタイプではなかったのですが、広報の仕事に就いてからは、休日に街をブラブラと歩くときも、様々な業種のトレンドを楽しみながらチェックするようにしています。街歩きだけではなく、SNSもこまめにチェックして、「今、何が流行っているのか」を意識しながら情報収集しています。 性別や年齢問わず、色々な立場の人のことを考えながら情報を取り入れることで、どんな立場の人とも質の高いコミュニケーションが取れるのではと思います。

 良い意味で、この仕事はプライベートとの垣根がなく、日常生活からヒントを得ることもありますね。例えば、他社が運営するレストランで食事をする際も、「メニューがとても分かりやすい」「この表現は分かりにくい」など、参考にするようになりました。

 最近の例では、広報宣伝室と店舗とで「ステーキ定額パスポート」というアプリを企画し、都内の店舗で取り入れました。アプリから専用のパスポートを購入すると、毎日、ステーキ1枚が定額で楽しめるというものです。日頃の情報収集を重ねることで発想も柔軟になり、新しいアイデアが生まれることもありますね。

――なるほど。最後に、広報の仕事のやりがいを教えてください。

 おいしい料理や素晴らしい接客の店舗でも、世間に知られないと人気は出ません。PRの仕方を工夫したり、「ステーキ定額パスポート」など新しい企画を考えたりすることで、思わぬ売り上げ向上に結びつく可能性がある仕事です。すぐに結果が出ないこともありますが、現場から「ありがとう」と感謝の声が届くときが、一番うれしい瞬間です。

 

現場で働く店舗スタッフからの感謝の声を聞くと、とてもやりがいを感じます
現場で働く店舗スタッフからの感謝の声を聞くと、とてもやりがいを感じます

取材・文/吉田明乎 写真/吉澤咲子