好奇心旺盛で、楽しいことに感度がある人は広報向き

 現在の仕事は、まず製品をさまざまな場で紹介していくこと。新製品の発表の際は3~4カ月前から準備が始まります。メディア向け・顧客向けの発表会やイベントの他、社外とのコラボイベントを通じて潜在顧客を百貨店カウンターに誘致。プレスリリースの発信や日々のキャラバンの実施でメディアへの露出を図ります。「特にコラボイベントは、これまで接点のなかった会社と仕事ができる機会。信頼関係を基本に、楽しく前向きに仕事をしようと心掛けています」

 広報に向いている人とは、「好奇心が旺盛で、楽しいことへの感度がある人」と矢吹さんは言います。

 「広報は、自分の仕事が記事などの形になるのが面白いところです。ただ『形になる』というだけでは自己満足だとも思います。形になった結果、現場の美容部員の力になり、そしてお客様が喜んでくださる……。そういうふうに、誰かの力になることができると本当にうれしいです」

 実際に、ラグジュアリーブランドの広報の現場とはどんな感じなのでしょうか。

 「華やかなイメージがあるかもしれませんが、スポットライトが当たるのは商品であって、広報はむしろ裏方です。プレス発表や会見の日はもちろんきちんとした格好をしますが、普段は商品の発送作業や、会場のセッティングなどの仕事が多いので、カジュアルなファッションが重宝しています」

スキンキャビア誕生から30年。より革新性のあるブランドへと変化しつつあります
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 「仕事が形になる」ということは、失敗も目に見えやすいということです。「華やかではあっても大変な部分もあり、責任もあります。『ブランドを背負っている』という覚悟がないと続けられないと思います。つらい部分とやりがいのある部分が半々ですが、それはどんな仕事にも共通することでしょうね」

 そんな矢吹さんのリフレッシュ時間はとてもアクティブです。週末はボクササイズで汗を流し、ブランドの顔としてスリムなスタイルを維持。さらに、ボーカルレッスンを始めて、年に2~3回はライブに出演しています。

 今後の目標は、とにかくブランドの認知度をさらに上げていくこと。「とことんブランドを好きになり、伝えたいと思うことが広報の醍醐味です。より多くの人に、ブランドのよさを発信していくことが使命だと思っています」

文/藪内久美子 写真/都築雅人