セーラームーン好きは「キラキラまぶしい理想論者」

 ドジで脳天気でおっちょこちょい、でも正義感にあふれ、図抜けた博愛主義者のセーラームーン(月野うさぎ)。5人のなかではひとりだけ彼氏(タキシード仮面/地場衛)がいて、さくっと結婚と出産を済ませます。

 セーラームーン好き女子は、楽観主義者もしくは楽観主義者でありたいという志向が強く、常に健全なポジティブオーラを出している愛されキャラ。他者に対する警戒心が弱く、面倒くさいプライドもないので、誰とでも友達になろうとしますし、実際に交友関係が広い人も多くみられます。

 ただ、誰に対しても愛を振りまく一方、誰からも大切にされることを求める甘えっ子さん。経済的・精神的自立心やバリキャリ志向は低め、かつ周囲への依存心も隠そうとしません。ゆえに、この部分で「敵認定」してくる同性は多いかもしれませんが、本人はまったく気にしないでしょう。

 作中のセーラームーン同様、「みんな仲良く」「話しあえばわかる」といった理想論を所かまわず振りかざしますが、現実にそぐわないことも多々。リサーチしたセーラームーン世代のひとりが、「作品としては大好きだけど、うさぎはムカつく」と吐き捨てるように言っていたのが、それを象徴しています。

 いかがだったでしょうか。もし、昔好きだった戦士と今好きな戦士が違うようなら、その差分こそが、セーラームーン世代の女性たちの「パーソナリティの変化」「人間的成長」と見立てることもできるでしょう。

 次回は、タイプ別診断の男性版。男性が選ぶ「好きなセーラー戦士」から、彼らの女性観を診断します。


『セーラームーン世代の社会論』
 著者:稲田豊史
 出版:すばる舎リンゲージ
 価格:1400円(+税)
 ■ Amazonで購入する
この連載は、隔週で火曜日に公開。下記の記事一覧ページに新しい記事がアップされますので、ぜひ、ブックマークして、お楽しみください!
記事一覧ページはこちら ⇒アラサー世代とセーラームーン―影響力のひみつ