注意点3 運用成績によっては元本を割ることがある

 ただ、高いリターンを狙えば、それだけリスクも高くなります。値動きのある投資信託で運用すると、自分が積み立てた資産の価値は常に変動し、運用次第では積み立てた金額よりも受け取る金額が下回る恐れもあります。

 確定拠出年金で運用する商品は、途中で変更できます。毎月の掛金でどの商品を買うかを変更することもできますし、すでに購入し運用している商品を売却して、そのお金で別の商品を買うこともできます。かりに、これまでに購入した投資信託が値上がりして利益が出たときには、これを売却して定期預金を買うような手続きをすれば、その後に投資信託が値下がりしてしまう前に利益を確定することもできます。確定拠出年金に加入したからそれでおしまいではなく、折に触れて運用状況をチェックしながら、上手にお金を増やしていきたいですね。

 元本が割れるのは嫌だから定期預金だけで運用したい人もいるでしょう。それもひとつですが、老後に向けた資産づくりを考えると、リスクを取らないことがリスクにもなります。積み立てた老後資金を使うであろう約30年後には、生活で必要なものの物価が上がっているかもしれないからです。今は月に20万円あれば1ヶ月生活できても、インフレが進み住居費や日用品費などが上がれば、30年後には月20万円では暮らせないかもしれません。

 第3回でお話したように、老後の生活に向けては約2,000万円が必要ななかで、確定拠出年金は有効な手段です。しくみをしっかりと理解して、コツコツと資産づくりを進めていきましょう。

文/加藤梨里、イラスト/梶塚美帆

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