夢が叶ったらと想像することは容易いですが、叶えるための苦難は目の前に来ないと気がつけません。
学生時代は映画監督を夢見ていたライター・ゆうせいです。
誰しも大なり小なり叶えたい夢はあると思います。その夢は、「叶ったらいいなぁ」レベルですか? それとも「絶対に叶える」レベルですか?
大きな夢を本気で叶えたいなら、越えられない壁を越えるくらいじゃないとダメだと映画「ラ・ラ・ランド」は教えてくれます。
夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア(エマ・ストーン)は女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(ライアン・ゴズリング)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋に落ち、互いの夢を応援し合う、しかしセブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる…
※LA LA LANDとは?:ロサンゼルス、特にハリウッド地域の愛称。陶酔し、ハイになる状態を表す。夢の国。
夢を叶える「途中」の苦難を想像できるか
夢が叶った後を妄想するのはとても楽しく、それだけで酔いしれることができますよね。しかし私たちはどうしても、夢を叶える途中の苦難は想像できないものです。想像したとしても、悠々と乗り越える自分の姿しか目に浮かびません。
それは至極当然で、夢を叶えるために命を削って取り組んだときに初めて、乗り越えなくてはいけない苦難が見えてくるからです。
夢を叶えるための苦難は、「だいたいこのくらい大変だろう」の何倍も辛いことが、予期せぬ角度から恐ろしい速さで襲ってきます。また、どれだけ努力をしていても、自分以外のことが原因で起きる苦難もあるでしょう。
そのとき、人は3つの選択を迫られ、
1.夢を諦める
2.叶いそうな夢に軌道修正する(妥協する)
3.それでも諦めずに追いかけ続ける
のどれかを選ぶことになると思います。
でも、どれを選んでも悔しいことには変わりありませんよね。
本作では3つの選択すべてが描かれていて、夢を持つことの幸せ、追いかけることの苦しみ、叶えるために必要な代償について深く考えさせられます。
夢を諦める潔さが招く幸せもあるでしょうし、軌道修正した夢でも幸せを手にすることはできるでしょう。そして最後まで夢を追いかけて、それが叶えば大きな喜びが得られると思います。
しかし本作では、
「夢が叶う=幸せ」
といった簡単な式では表せない、そんなに人生は単純ではないことを教えてくれます。