何が幸せなのかは一概には言えないけれど

佐藤二朗の存在感が本作を支えていると言っても過言ではありません (C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会
佐藤二朗の存在感が本作を支えていると言っても過言ではありません (C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会

 ある意味では、その一日に全力投球し続けられるとも言えるでしょう。しかし、たった一日で成し遂げられることは限りがあります。そして次の日には何もかも忘れてしまっている。その日のうちに完結しなかったことは、次の日にはなかったことに。

 瑠衣にとって何が幸せなのかは一概には言えませんが、主人公・大輔が瑠衣を幸せにしたいと行動する姿には胸を打たれます(たとえ失敗しても次の日には忘れられてしまうわけですが……)。

 どうせ忘れてしまうならば、せめてその日を穏やかに過ごしてほしいと願うか、それとも1mmでも明日につながるように生きてほしいと願うか。どちらも彼女の幸せを願っていることだけれど、果たして何が正解なのか、正解なんてあるのかを問う内容にもなっています。

めちゃくちゃ幸せそうにキスする二人に嫉妬するレベル (C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会
めちゃくちゃ幸せそうにキスする二人に嫉妬するレベル (C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会

 瑠衣の幸せを願う大輔の行動は、悪い言い方をすれば大輔自身が幸せになるためとも言い換えることができます。しかし同じ毎日を繰り返している彼女を変えることで、新たに生まれる幸せもあると気付かせてくれるのも事実。

 果たして大輔は瑠衣の記憶の中に入り込み、幸せを送り続けることができるのか。ぜひ本編で50回目のファーストキスとは何かを確認してください。

 それではまた。映画カタリストのゆうせいでした。

【作品情報】
「50回目のファーストキス」
6月1日(金)より全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(C)2018「50回目のファーストキス」製作委員会

文/永井勇成