諦めたらそこで試合終了って本当

アーロン・エッカートの演技は賞賛しかありません (C) BLEED FOR THIS, LLC 2016
アーロン・エッカートの演技は賞賛しかありません (C) BLEED FOR THIS, LLC 2016

 鑑賞中に何度も思い返しました。これまで何かと理由を付けていろんなことを諦めてきたけど、あれって本当に諦めるしかなかったのかなと。

 簡単に諦めてしまって、だってしかたがなかったんだと言い訳していたかもしれないと。やめたくないって気持ちより、面倒に思う気持ちやつらさが上回ることなんてザラにありますから。

 死ぬ気で努力すれば続けられそう、でもそれって本当につらい。周りの人間もやめたほうがいいって言ってるし、ここまで努力したから諦めてもいいかな……と思ってしまって何も悪くないのです。

 でも、本作のビニーはそうじゃない。

 諦めないほうを選んだ。そもそもそのくらいの覚悟じゃないと世界チャンピオンにはなれないのかもしれません。

 真価を見せるときはいつなのか?
 一度諦めかけて戻ってきたときなのか?

 と本作は問いかけてきます。

ボクシングに懸ける思いに感動必至です (C) BLEED FOR THIS, LLC 2016
ボクシングに懸ける思いに感動必至です (C) BLEED FOR THIS, LLC 2016

 正直なところ、首の骨が折れて歩けるようになるのがやっと、と言われている人間がボクシングを続ける。そんな話があるわけないと思いましたし、作り話にしても他に見せ方があるだろうとも思いました。

 でも実話です。

 事実は小説より奇なりと言いますが、作り物のストーリーをはるかに超えて、完全なる感動がここにはありました。

 「諦めなければ夢はかなう。」の最強版です。マンガ「SLAM DUNK」にも出てくるように、「諦めたらそこで試合終了」って、本当かもしれません。これまで好きなことをやめてしまった方、諦めてしまった方、もしくは今まさにその状況にある方に見てほしい作品です。

 それではまた。ご存じ、ゆうせいでした。

「ビニー/信じる男」

7月21日(金)より、TOHOシネマズシャンテ他全国順次公開
配給:ファントム・フィルム
(C) BLEED FOR THIS, LLC 2016
公式サイト:http://vinny-movie.com/

文/永井勇成