自分が自分じゃなくなったら死んでいるのと同じかも

 つまり、まったく必要ないと思っていたものでも、確実に大切な人とつながっているのです。すごく嫌っていたもの、全く意識していなかったもの、それ以外のすべてのものも、全部自分の人生に影響を与えているのです。

 嫌なことに抵抗したり、逃げたい気持ちになることはあります。しかし、それらを避け続け、逃げ続けると、大切なものも失うことになります。

 例えば仕事でも同じ。本当にやりたい仕事はこれじゃない。でも、本当にやりたい仕事って何と言われても答えがなかったり。日々悩みながら仕事をしているわけで、そしてその日々の積み重ねが自分を形成しているのです。

この映画館の雰囲気がたまりません (C) 2016映画「世界から猫が消えたなら」製作委員会
この映画館の雰囲気がたまりません (C) 2016映画「世界から猫が消えたなら」製作委員会

 どうせやるなら笑顔でやりなさいと、私の祖母がよく言っておりました。つまらない、しんどいと思ったときほど笑顔でやることが大切だと。

 必死に抵抗するよりも、好きなことも嫌いなことも受け入れる。それは、諦めるのではなく、潔く認めることだと本作は教えてくれます。その結果、幸せになれると。

 「仕事はつまらないけど、お金のために働いています」。これもある意味で正解だと思います。究極的には、お金のためではなく、お金を使う自分のためですから。だから、つまらない仕事を消してしまうと、自分が自分でなくなってしまう。自分が自分じゃなくなったとき、それは結局死んでいるのと同じと言えるかもしれませんよ。

 王道のラブストーリーだと思って油断せずにご鑑賞ください。

 それではまた。ご存じ、ゆうせいでした。

『世界から猫が消えたなら』Blu-ray 通常版

発売元:小学館・博報堂DYメディアパートナーズ・アミューズ
販売元:東宝
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価格:4800円+税
(C) 2016映画「世界から猫が消えたなら」製作委員会

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文/永井勇成