個々の能力を生かすのがダイバーシティ経営

 ダイバーシティ経営については、いくつもの誤解があると佐藤教授は語る。「女性社員を集めて女性の感性を生かした商品を作り、ヒットした」、また、「外国人社員の意見を取り入れ、新商品開発に成功した」といった企業の広報を目にすることも多い。

 「こうした広報の内容は、ダイバーシティ経営を理解しているものではない。これらの商品がヒットした理由を、女性や外国人の感覚を取り入れたから、と評価していることが間違いです。女性だから成功したのではなく、そのプロジェクトを率いたリーダーがどんなマネジメントしたのか、そこを明らかにすることが重要で、それが次のヒット商品につながることになります」と佐藤教授。

 また、食品メーカーが調味料を開発するような場合、開発メンバーを女性にしようと考えるのも間違い、と佐藤教授は言う。「料理が苦手な女性も、料理上手な男性も多いはず。男性だから女性だからと、それぞれをひとくくりにするのではなく、男女ではなく、社員一人ひとりの多様な能力と価値観を生かすマネジメントが重要です。ダイバーシティ経営とは、多様な人材の持っている多様な能力を生かすことなのです」と強調した。