働き方改革にはマネジメントの力量が問われる

 働き方改革には、職場の管理職のマネジメントの重要性が高い。

 「過去には、いくら時間がかかっても良い製品を作ればいいという時代がありました。そのため、日本のエンジニアはいい仕事をしていても、その仕事にかけた時間を考慮すると生産性が低いといったことや、仕事の優先順位を考えておらず、そのために重要でない仕事に時間を投入しているといった実態がありました。しかし、今後は、仕事以外にも大事なことややりたいことがある『ワーク・ライフ社員』が増えるため、時間当たりの生産性や創造性を評価する働き方に変えることが大事になります」(佐藤教授)。

 働き方改革の目的は、単純な残業削減ではない。安易に残業に頼る働き方を変えることだ。「たとえば、製造現場で、明日納品する製品に不良品が出たとします。この場合は残業して完成品を作る必要がありますが、その後で、不良品が発生した原因を追及し、同じ原因で問題が生じないようにしています」と佐藤教授。しかし、同様の取り組みが、営業部門や管理部門で行われているのか、その点が問題なのだ。

 一方、営業部門では、突発対応が必要な事態が多く、そのための残業が不可避と考えている社員が少なくない。佐藤教授は、「突発対応しなくてはならない仕事はどのくらいあるのか、どうして突発事項が起こるのか、これらを分析していないことが問題なのです」と説明する。