ピンチとは悪い出来事ではなく、むしろチャンス

 でも、そういう態度では、人生は何も変わらない、その後も好転しないということなんですね。失敗したりすると心が折れてしまいそうになりますが、そこはグッとコラえて、冷静な頭で、失敗やピンチを客観視してそれを招いた原因を明らかにするということが必要なのです。

 高橋俊介教授は、女性たちのキャリアを分析してこう指摘しました。

 「成功する人というのは、失敗しない人ではないんですね。失敗からきちんと学ぶ人が成功するのです。失敗からどれだけ学んだかが重要です。失敗はするけれど、軌道修正をする。しかも軌道修正が早いんですね。また失敗はしますが、同じ失敗はしない。そこで学ぶわけです。失敗から学んで成長するというプロセスが重要です。失敗から学んで自分を変容させることができるかどうかでその後が違ってきます」

 人生、いいことばかり起こってほしいと願います。でも、そんなことはありえません。自分が起こってほしくないと思う事態にもたくさん遭遇します。そのときに他責に逃げるのではなく、自分の運命を呪うのでもなく、そこから学ぼうとすること、そして自分を変えることが大切なことであり、自己変容をできる女性が大きな成果を上げているのです。

「ピンチはチャンスである」

 よくいわれる言葉ではありますが、それは、ピンチのときにこそいろいろ学ぶことができる、自分を変えることができる、学びの場にも成長の糧にもなるということなんですね。私たち女性は、失敗、ピンチ、逆境、または人事考課のネガティブなフィードバックなど、そういうことに少しナイーブ過ぎないでしょうか。

よし、気持ち入れ替えてもう一度! と思えたら景色は変わる (C) PIXTA
よし、気持ち入れ替えてもう一度! と思えたら景色は変わる (C) PIXTA

 でも、失敗や挫折、ピンチを――本来は起こってほしくない出来事をそのように前向きに捉えることができたら、極論すると、この世界に、「悪い出来事」はなくなると思いませんか。自分の人生から、失敗やピンチ自体が消えると思いませんか。なぜなら、それは学びの場、自分が成長する好機なのですから。そう解釈を変えるとタフになれると思いませんか。挑戦すること、リスクを取ることに対するハードルが低くならないでしょうか。

 失敗することを恐れ、挑戦に尻込みしてしまう女性たちにお伝えしたいです。

 あなたが仕事で失敗しても(たいていの場合)たいしたことにはならない。会社にも特段影響はない。そう思えたら、どんどんいろんなことに挑戦できると思いませんか。だって、チャレンジしてたとえ失敗したとしても、それは悪い出来事ではない。そこから学んで自分を変えることができる好機なのですから。

文/麓幸子 写真/PIXTA


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