他人をどう捉えるかによって人間関係も変わる

 この考えを知ったとき、成功した女性たちの言葉「周りはいい人ばかり」の謎が分かったような気がしました。

 出来事を「人間」に換えると分かりやすいでしょう。あなたの周りにもたくさんの人がいますね。その人をどのように捉えるかであなたの感情は大きく変わるはずです。

 例えば、数字にとても強くて(ということは数字に細かいということでもあります)仕事ができる上司がいたとします。その上司のことを「上司は部下の気持ちを理解すべきなのにしてくれない」「重箱の隅をつつくように数字に細かくて嫌になる」と思えば、当然気持ちはブルーになりますよね。ストレスを感じますよね。

 しかし、その捉え方をやめて、「仕事のできる上司にいろいろ教えてもらおう」「鍛えてもらういいチャンスだ」と捉えれば、あなたの気持ちは変わってきませんか。きっとその上司と話すときの表情も変わってくるでしょう。

 前段の捉え方だと、多分、表情も曇っています。上司となるべく目を合わせたくない、おどおどした振る舞いとなり、早く上司との話を終わりたいと思ってしまうでしょう。一方、後段になると、表情も前向きになっています。真っすぐ上司の目を見て話して懐に飛び込む感じ、いろいろ吸収してやろうという前向きな感じになるのではないでしょうか。

捉え方を変えると、苦手だった上司への視線が変わります (C) PIXTA
捉え方を変えると、苦手だった上司への視線が変わります (C) PIXTA

 前段と後段を比較すると、どちらがその上司といい人間関係を築けるか、その上司から支援を受けられるかというのは一目瞭然だと思います。あなたが上司だったらどうですか。自分と目を合わせてくれずそそくさと話を切り上げたい態度が見え見えの部下と、真っすぐ目を見て「いろいろ教えてください」という前向きな態度の部下とでは、どちらが好ましいと思えますか。

 私は、幸せにキャリアを築ける人というのは、他人をどう捉えるかという認知がゆがんでいない人なのだなと結論づけました。つまり、「そういう見方もあるけれどこういう見方もあるんだな」と多様な面から捉えることのできる人なのです。

 「周りにいる人がいい人ばかり」「環境に恵まれている」と語る女性は、周りに「いい人」が存在するのではなく、「自分の考え方の癖を修正して、他人をよく捉えることのできるその人」が存在するということだと、私は解釈しています。