人間関係に「なぜ?」と考えるのはムダ
「人間関係に『Why?』は禁物です。『なぜ?』はやめることです」
授業での宮城教授のこの言葉もとても印象に残っています。
「この上司はどうしてこうなんだ?」「あの後輩はどうしてダメなの?」と、「Why?」を問うたとしてもムダなこと。なぜなら、「どうして?」「なぜ?」と考えてもその問題は解決しないからです。あなたの悩みであるその他人が変わることはありません。実は、他人を変えるよりも、自分が変わるほうが早いのです(これが認知行動療法なのですね)。
過去と他人は変わりません。変えられるのは、「これから」そして「自分自身」なのです。よくいわれることではありますが、大学院の授業でその言葉を聞き、すとーんと腹落ちしました。
最後に、自分を変えたことで大きな成果を上げた若き女性リーダーのことをお伝えしましょう。
ある地域の問題解決のためにある組織を立ち上げた若き女性リーダーがいました。地域課題を解決し社会貢献したいというミッションを掲げ、その組織は船出しましたが、運営メンバーがどんどん辞めてピンチに陥りました。
その女性リーダーは、最初、メンバーが自分の崇高なミッションについていけない意識の低い人たちだと思っていたそうです(「私についてこれないのはメンバーの意識が低いせい」――つまり他責ですね)。しかし、ついに自分以外のメンバーがほぼ辞めてしまって、ようやく、もしかしたら、間違っているのは彼らではなく自分だったのか? と思い始めたそうです。
そう思ってからは、組織マネジメント論やリーダーシップに関する書籍を読みあさり、これまでの自分のマネジメントスタイルやコミュニケーション方法を猛省して自分の行動を改めました。そうしたら、加入したメンバーが組織に定着し始め、育つようになりました。そのようなメンバーと一緒に地域を元気にする仕組みを作り上げて大きな実績を残したのです。
彼女が、「辞めたのは意識の低いメンバーのせい、自分は悪くない」という他責思考のままでは、メンバーの流出は止まらず大きな成果は残せなかったでしょう。でも、「私に何か問題があるかも」「私が変わったほうがよいのかも」と視点を変えて、物事を捉え直して、その解を求めてマネジメントやリーダーシップを学んだ結果、自分自身が変わりました。自分が変わった結果、メンバーとの人間関係もよい方向に変化し、協力も得られるようになりました。自分を変えることで他人が変わり、周囲にサポーターも増え、そして、未来も変えることができたのです。
あなたにはどんな考え方の癖がありますか?
その考え方の癖を少し変えてみると、苦手だと思っていた相手のことも違って見えてきませんか?
掛ける言葉も向き合うときの表情も変わってきませんか?
相手は変わりません。相手を変えたいと思ったら自分が変わるのが早道なのです。
文/麓幸子 写真/PIXTA
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