自分らしく輝く、すべてのワーキングウーマンのためのイベント「WOMAN EXPO TOKYO 2016」のプレイベント ダイバーシティマネジメントセミナー「企業を強くする女性活躍推進セミナー」が、5月20日に東京ミッドタウン(東京・六本木)で開かれた。講演に続くパネルディスカッションでは、女性活躍先進企業の担当者が登壇。自社の戦略と施策、次なる目標について語り合った。
(2016年7月14日にサイト「日経BPネット」のコラム・麓幸子の「ダイバーシティ&働き方改革最前線」に掲載された記事を転載しています)

 パネリストはKDDI人事部 ダイバーシティ推進室室長の間瀬英世氏と日産自動車 ダイバーシティ ディベロップメント オフィス室長の小林千恵氏。モデレータは、日経BP社執行役員・日経BPヒット総合研究所長の麓幸子が務めた。両社とも、「日経WOMAN 女性が活躍する会社ベスト100」のランキング企業であり、経産省の「ダイバーシティ経営企業100選」にも選ばれ、さらには「なでしこ銘柄」も4年連続で受賞している。女性活躍が進んでおり、それがビジネス上のメリットにも結びついているという、まさに理想形を実現していると言える。

役員補佐で幹部候補生を育成するKDDI

 KDDIは、2015年度末までに女性ライン長90人登用という目標を達成した。ライン長とは組織のリーダー職で、人事評価の権限を持つ管理職だ。間瀬室長は、「KDDIは多くの会社が合併してできた、まさにダイバーシティ企業です。2005年から女性活躍推進に取り組み、当時の社長がメッセージを発信。2007年にダイバーシティ推進室を作り、短時間勤務制度の充実やテレワーク制度の拡大などで、ボトムアップを行いました」と説明する。

KDDI人事部 ダイバーシティ推進室 室長 間瀬 英世氏
1992年 ツーカーセルラー東京入社、カスタマーサービス、営業、広報を担当。2005年 KDDI合併、総務部 CSR・環境推進室へ異動。2010年 管理職昇格。2013年 人事部 ダイバーシティ推進室。2015年 ダイバーシティ推進室室長就任

 女性リーダー登用の取り組みで特筆すべきは、経営幹部候補生育成のために、取締役員に男女ひとりずつの補佐を付けるシステム。補佐職の社員は、役員が出席する会議にはほとんど参加し、経営に関して直接学ぶことができる。

 「このプログラムは5期目に入り、補佐職を経験した20人の女性のほとんどがライン長として活躍しています。昨年は、三太郎シリーズのCMが好感度年間1位になりましたが、宣伝部長は役員補佐職の一期生です」と間瀬室長は話す。

 商品開発に女性の視点を生かすという点では、ワーキングマザーであるリーダーが企画開発した世界初のハンドソープで洗えるスマートフォンが、衛生的だと好評だ。国内初の通話ができるキッズウォッチも彼女がリーダーとなって開発し、注目を浴びている。

 間瀬室長は、「女性にライン長や管理職への昇格の意向を聞くと、ポジティブな回答は少ないのです。しかし昇格後には、ライン長の74%、管理職の87%が『昇格してよかった』と答えています」と、上級職に就くことに消極的だった女性たちも、登用後にはやりがいを感じている実態を語る。

 今後は、若手育成から役員登用まで、各層ごとに施策を定めており、特に部長登用に関しては、本部長がスポンサーとなって候補者を育成、登用するプログラムを推進する。「ダイバーシティを進めるにあたって実感しているのは、個を見て育成することの重要性です。一人ひとりの個性と環境に合わせて推進していきたい」と間瀬室長は今後の方向性を示した。