「1つ目は、現在の担当職務を最大限の努力で遂行すること。現在の仕事から得られる知識やスキルを自分のキャリアに確実に生かすことです。2つ目は、3年・5年・10年後のおおよそのビジョンを持ち、そのための自己啓発を行うこと。5年後にはどんな職務履歴書が書ける自分になるか考えてみることです。3つ目は、自分の興味・関心のある分野を一生懸命追求すること。異なる視点から自らを客観的に見たり、新たな人脈をつくることが大切です」

 「人生100年」というとあまりにも長く捉えどころがないと感じるかもしれませんが、宮城教授の指摘する「今の仕事に対して最大限努力する」「3年後、5年後のビジョンを持つ」「自分の興味のある分野を一生懸命追求する」ということであれば、実行できるのではないでしょうか。そして、例えば5年ごとに自分のキャリアを見直し、再設計し、環境に合わせて柔軟に変容していくことの重要性を宮城教授は指摘します。

自分のキャリア、見直したことがありますか? (C) PIXTA
自分のキャリア、見直したことがありますか? (C) PIXTA

 野村総合研究所は15年12月に「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になる」といういささかショッキングな研究結果を発表しましたが、むやみに恐れることはありません。自分のキャリアのオーナーシップを持ち、AIに代替されない自分、むしろAIを使いこなし新たな価値をつくる自分になろうと思い切ればよいのではないでしょうか。若宮さんがたゆまぬ努力と挑戦でパソコンスキルを習得し、スマホのアプリを開発する側になったように。

映画「ドリーム」に学ぶ4つのキャリア戦術

 次に考えたいのは、キャリアの戦術です。

 これを学べるよい映画があるのでご紹介しましょう。それは米国映画「ドリーム」(20世紀フォックス映画、セオドア・メルフィ監督)です。この映画は、人種差別が色濃く残る60年代初頭の米国NASAの研究所が舞台です。3人の黒人の女性数学者が主人公ですが、当時は図書館もトイレもホワイト(白人)とカラード(有色人種)に分けられていた時代。黒人女性が働くには、今では考えられない理不尽で不当な出来事の連続であり、彼女たちを阻む幾多の強固な壁がありました。でも、彼女たちはそれを卓越した知性と不断の努力と不屈の精神で乗り越えていったのです。しかもこれは実話なのです。仕事に真摯に向き合っている女性であればきっと励まされ涙する映画なのですが、ここでは、戦術として、我々が学びたいと思うポイントをご紹介します。