3.煩雑な業務ほど、アナログで管理

仕事をフォーマット化し、アナログで管理する

 前職では化粧品会社のプロダクトマネジャーをしていた松本さん。同時並行で複数の新商品開発に携わり、「猛烈に働いていた」といいます。

 「メークアップコレクションの開発、そこに容器やパッケージのデザインとなると、てんやわんやでした。そこでA3サイズの紙に仕事のプロセスとTO DOをかき出し、やり残しがないように確認。終わったら碁盤の目を塗り潰すように消していき、達成感も味わっていました。今はそれほどTO DOが多くないのでA3用紙は使っていませんが、TO DO管理や面談内容を書き留めるときにノートを使っています。アナログなノートのほうが頭の中にあることをすべて書き出せるし、『ノートのあの辺りにメモを書いていたな』と視覚化して覚えておけるので便利ですね」(松本さん)

毎日書いている松本さんのノート。会議や面談でのメモや思い付いたことなどを書きなぐり、視覚で覚える。でも、全ページ書き終わったら捨てる潔さも
毎日書いている松本さんのノート。会議や面談でのメモや思い付いたことなどを書きなぐり、視覚で覚える。でも、全ページ書き終わったら捨てる潔さも

 店舗対応では大手コンビニと商談を行うことが多い伊藤さん。

「私もTO DO管理はアナログ派です。社内共有のカレンダーも使いますが、取引先との商談時はすべて手帳に書き取ります。スケジュールのデッドラインや、覚えておかなければいけない数字など何でもメモします。デジタルだと、調べるのに若干時間がかかりますが、アナログ手帳はサッと取り出せて時短。行程上のデッドラインは手帳に、プライベートの予定はスマホに入れ、オンとオフがごちゃ混ぜにならないよう工夫しています」(伊藤さん)

伊藤さんのアナログの手帳は、取引先用手帳。固定の取引先との商談、販促スケジュール、締め切りなどを書いてあり、仕事中はいつも持ち歩く
伊藤さんのアナログの手帳は、取引先用手帳。固定の取引先との商談、販促スケジュール、締め切りなどを書いてあり、仕事中はいつも持ち歩く

4.口出ししない、手を出さない でも「やらないこと」を明確に

自分の仕事と他人の仕事を線引きする

 チームをまとめる立場でありながら、そのマネジメントは「ライオンの子育て方式」と言われることもあるという松本さん。

松本さんのマネジメントは「ライオンの子育て方式」と呼ばれています
松本さんのマネジメントは「ライオンの子育て方式」と呼ばれています

 「チームメンバーとは今期の課題やアクションなどは共有しますが、細かな指示までは出しません。人はみんな根本的に違うので、『理解してあげよう』『理解してもらおう』とは思っていませんし、それぞれが自分に合ったやり方で仕事もコミュニケーションも進めていくべきです。わりと崖から突き落として、はい上がってくるのを待つタイプなので、社内では『ライオンの子育て方式だね』とも言われたこともあります。でも、『言われたことしかやらない』よりは自分で課題を見つけて、解決する力を養うほうが本人のためだと思うんです。ただ、こうしたやり方が向かない人もいるので、指示したほうがいいのか、ある程度任せたほうがいいのか、人によってやり方は変えています

 ただ、若手が『何から手を着けたらいいか迷っている』『やりたいことが多過ぎて、意識が拡散している』と感じた時には、ちゃんと声を掛けます。悩んでも答えが出ないことで悩むのは時間のムダなので、仕事の優先順位を付けたり、物事をシンプルに整理し直したりしています」(松本さん)

 現在、8人の営業チームで働いている伊藤さん。誰かが休んだ時、会議でタスク漏れが発覚した時には、それぞれがフォローし合うそうです。

「チーム内には仕事が速い人、人に仕事を振るのが上手な人がいるので、見習いたいですね。私は人に仕事を振るのが下手で、『人にお願いするなら、このレベルまでは仕上げないと』と思って途中まで仕上げ、『ここまで来たら自分でやったほうが早い』と人に振れず、仕事を抱えてしまうタイプなんです。

 仕事でいっぱいいっぱいにならないために、自分の仕事が忙しい時はあえて他の人のことまで首を突っ込まないようにしています

 もちろん緊急事態や本当に困っているときは手伝いますが、『余計なおせっかい』はしないように意識しています。いろんな人が手を出し始めると仕事が無駄に広がることもあると思うのです。ただ、うちの職場には、困っていたら、メンバー同士でフォローしあえる体制と雰囲気がベースにあるので、仕事が滞るということは少ないと思います」(伊藤さん)

「むやみやたらに首を突っ込まない」のも、仕事の効率化、チーム力向上の秘訣です
「むやみやたらに首を突っ込まない」のも、仕事の効率化、チーム力向上の秘訣です