無限ループする反省

 半年も「友人以上恋人未満」の関係を続けたということもあり、慶子さんのなかには、いいところまで行っていたという手応えがあるのでしょう。それだけに、どこかの時点で自分が誤った選択をしたのではないかと悩んでしまうわけです。

 一方で、いくら反省しても「キリがない」という無力感のようなものも慶子さんは抱いています。そもそも反省とは、自分の言動を振り返って、それが正しかったのか、間違っていたのかを考える行為です。今回のケースではその正誤の決定権は彼が持っていますので、彼から理由を聞く事ができない慶子さんの反省は無限ループすることが予め決められているとも言えます。

「理由」は彼にも分からない!?

 また注意しなければならないのは、もしも彼に「理由」を問いただしたとしても、慶子さんが納得できるような答えを引き出せる可能性は低いという点です。彼が自分の気持ちを正直に言っているかどうかは確かめようがないですし、そもそも彼の中で理由が言語化されているかどうかも怪しいからです。「なんとなく気乗りがしない」といった、理由になっていない理由だけで断られることもあるのが、恋愛の不条理なところです。

慶子さんが恐れていること

 ここで我々が注目したいのは、曖昧模糊(もこ)たる理由それ自体ではなく、「理由は怖くて聞けませんでした」という慶子さんの中の恐れの感情です。

 なぜ、慶子さんは理由を聞くのが怖かったのでしょうか。

 これについて相談文には詳しくは触れられていません。ただ前述の通り、フラれた理由をめぐって慶子さんは悶々と反省しているのですから、その理由を聞くのが怖いという恐れの感情と反省との間には何らかの関係があるはずです。そしてこの恐れの感情のなかに、慶子さんが反省の先に進むためのヒントがあるのではないかと、我々は考えています。どういうことか、次のページで見ていきましょう。